Dossier special - 国内の特集

  • 1.南雄介副館長に聞く─マグリットの魅力
  • 2.副館長が案内するマグリット展1
  • 3.副館長が案内するマグリット展2

マグリット展

副館長が案内するマグリット展2 作品から紐解く─マグリットの魅力

4.誰にも理解されなかったヴァーシュの時代《絵画の中身》1948年

▲セクションW「戦時と戦後」より《絵画の中身》
油彩、カンヴァス 73×50cm
エリック・デュセ蔵
Eric Decelle, Bruxelles
©Charly Herscovici / ADAGP, Paris, 2015

南副館長が解説! 印象派風の作品が、ブルトンをはじめとするシュルレアリストたちに批判されたこともあって、マグリットはさらに違うスタイルを模索します。そして、パリでの初個展(48年)のために30点くらいの作品を制作しました。漫画やカリカチュアを引用した人物像、激しい筆触、けばけばしい色彩──マグリットはそれを、フォーヴ(野獣)をもじって「ヴァーシュ(雌牛)」と名づけました。結局、作品はまったく売れず、妻のジョルジェットからも「前のほうがいい」と言われてしまいます。この時代の作品、私は好きですが、その後、生前は公開されず、誰にも理解されなかったのです。

5.マグリットへの回帰、イメージ・スケールの拡大《光の帝国U》1950年/《美しい言葉》1952年

▲セクションX「回帰」より《美しい言葉》(右)
油彩、カンヴァス 46×38cm
個人蔵

「ヴァーシュ」の後、マグリットは再び、戦前のスタイルに回帰します。戦前との最も大きな違いは、イメージのスケールが大きくなった、ということ。戦前の作品では、日常の中に何か異質なモノが混じっている、という世界が描かれていましたが、戦後は、世界全体が変わっている、という場合が多いのです。昼夜の光景が同居する《光の帝国U》などは、その好例です。
 また、洗練された作品が多く、挑発的な部分が少なくなったのも戦後の特徴のひとつです。《美しい言葉》も非常に洗練された一枚ですね。「バラ」という問題への答えとして、「香り」が描かれています。

南副館長からwebサイトをご覧の皆さんへのメッセージ


Eric Decelle, Bruxelles
©Charly Herscovici / ADAGP, Paris, 2015

今回、13年ぶりに日本でのマグリット展が実現しました。これだけの規模の展覧会は、もうしばらく開かれないと思います。世界10カ国以上から代表作約130点が集まり、決定版といえる展覧会になりましたので、ぜひ、見に来てください。
南雄介(国立新美術館副館長)

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Update : 2015.5.18ページトップへ

マグリット展

会期
2015年3月25日(水)
〜6月29日(月)
会場
国立新美術館 企画展示室2E
URL
http://magritte2015.jp/
開館時間
10:00-18:00
金曜日は20:00まで。
5月23日(土)、24日(日)、
30日(土)、31日(日)は20:00まで。
※入場は開館の30分前まで。
休館日
火曜日
※ただし5月5日(火)、26日(火)は開館。
入場料(税込)
一般:1,600円
大学生:1,400円
高校生:800円
中学生以下は無料。
※この情報は2015年5月更新時のものです。
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