7月22日(金)から六本木・森アーツセンターギャラリーで、ルーヴル美術館特別展「ルーヴルNo.9 〜漫画、9番目の芸術〜」展(〜9月25日(日))が開催されています。ルーヴルと漫画と聞いてクエスチョン・マークが頭に浮かぶ方も多いはず。今回は本展をそのタイトルにちなんで、9つのキーワードでご案内します。
今回の展覧会は、2003年に発足した「ルーヴル美術館BDプロジェクト」の約10年間におよぶ成果として企画されました。このプロジェクトは、日本の「マンガ」やアメリカの「コミック」と同様、フランス語圏で独自に発展してきた漫画文化「バンド・デシネ(BD:ベーデー)」を芸術ととらえ、日本の漫画家を含むフランス内外の作家たちがルーヴル美術館を表現するという前代未聞のものでした。200年以上の歴史を持つルーヴル美術館が伝統に縛られることなく、いかに開かれた「芸術の殿堂」であるかがよく分かるプロジェクトです。
本展のタイトルに冠されている「No.9」とは、「9番目の芸術」の意味です。バンド・デシネは半世紀ほど前の1964年、「9番目の芸術」として位置づけられました。諸説あるものの、フランスにはそれぞれの芸術に序列がつけられており、第1から第8までは順に「建築」「彫刻」「絵画」「音楽」「文学(詩)」「映画」「演劇」「メディア芸術」とされています。バンド・デシネは、大衆的な作品であるとともに、絵画のように複雑で技巧の面でも優れた作品が多く、一つの確固たる芸術として、子どもから大人までに愛されているのです。
「ルーヴル美術館BDプロジェクト」は、単に漫画という新しい表現媒体にルーヴル美術館が飛びついたというわけではありません。バンド・デシネをはじめとした漫画には、古くから脈々と受け継がれてきた伝統が息づいているからです。本展の総監修を務めた文化制作局出版部副部長ファブリス・ドゥアール(Fabrice Douar)氏は、「現代美術が抽象に向かっていく中、バンド・デシネのデッサンは具象化という観点で、19世紀のコレクションに共通するもの」と説明しています。また、絵画の歴史を紐解くと「物語絵画」「連続絵画」と呼ばれる分野が、古代・中世の時代からありました。ルーヴル美術館は、バンド・デシネやわたしたち日本人が誇る「マンガ文化」を、伝統を引き継いだ“21世紀の物語絵画の集大成”と位置づけているのです。
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