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ジャック=ルイ・ダヴィッド「ホラティウス兄弟の誓い」
© Photo RMN/G_rard Blot/Christian Jean/digital file
by DNPAC |
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「ダヴィッドは非常に硬派な画家であるせいか、日本人にはなじみが薄いかもしれません。でも、本当はじつに優れた画家です。今日はそこを一緒に見ていきましょう」。こうおっしゃる千足先生は、まず、18世紀に「新古典主義」という芸術様式が生まれるに至るまでの背景からお話を始めました。
キリスト教的観念主導の中世の美術から、古代・ギリシアローマの美術を規範に調和のとれた美を追求したルネサンスへ。そして、ダイナミックで男性的なバロック芸術から、華やかで女性的なロココ芸術、さらに再び古典に回帰した“換骨奪胎の芸術”新古典主義。まるで政治の世界のように、保守と革新という関係性のなかで隆盛と衰退の歴史を見せる芸術の図式を、先生は分かりやすく解説していきます。しかし、「美術様式は年号のようにきれいに分けられるものではない」ということに留意すべきと先生は話します。例えば、フランス革命を機にロココから新古典主義へ変わったと思っている人もいるかもしれませんが、新古典主義は革命前、マリー=アントワネットの時代にはすでに生まれおり、革命を経てナポレオンの庇護のもと、大きく花開いていくのです。 |