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民衆を導く自由の女神
© Photo RMN / Hervé
Lewandowski / digital file by DNPACC |
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「美術史の教科書でよくいわれるように、ロマン主義は新古典主義からバトンを受けて走り出したのではなく、実際には同時並行的に二つの流れは存在しました。」
まず千足先生はフランス画壇における当時の状況を簡単に説明くださったのち、いよいよドラクロワの本質へと迫っていきます。ドラクロワはすでに巨匠であったアングルや、当時、王道とされていた新古典主義をつねにライバル視していました。それは、先生が紹介されたドラクロワの言葉からもよく分かります。
“絵というものは画家と見る人の心の架け橋に他ならない。冷たい正確さは芸術ではない……”
「ここでドラクロワは“冷たい正確さ”という表現で新古典主義、そしてアングルのことを暗に批判しています。この言葉からは人の心情や感情、そして想像力に訴えかけるロマン主義の絵画と、理知的ではあるけれど、独創性にはあまり重きを置かなかった新古典主義の違いがよく分かります。」ロマン主義という言葉だけでは、なかなかつかみにくかったその実像が、ドラクロワの言葉を引用することによって、分かりやすく解き明かされていきます。 |