
ポールとヴィルジニー
ジャン=バプティスト・カルポー(1827−1875)
1859−1862年
パリ、オルセー美術館所蔵
石膏製複製
『ポールとヴィルジニー』は、18世紀末に大変な人気を呼んだベルナルダン・ド・サン=ピエールの牧歌的純愛小説。このムラージュ(複製彫刻)は、19世紀のフランスを代表する彫刻家カルポーが悲恋の主人公二人を、描いた習作です。
モーリシャス島の自然の中で育った幼なじみのポールとヴィルジニーは、年頃になったヴィルジニーがフランスに送り返されたことで、引き裂かれてしまいます。ポール恋しさに、ヴィルジニーは苦難を乗り越え帰郷しますが、故郷の港を目前に帆船が難破、避難のため衣服を脱ぎ捨てることを恥じた彼女は海の藻屑に。なすすべもなく目の前でヴィルジニーを失ったポールは、苦悩に押しつぶされ死んでしまいます。実際の難破事故に着想を得た、南洋の美しい自然を舞台にした悲恋物語です。
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