冬はフランスをはじめとして、ヨーロッパの劇場がひときわ華やぐ季節。人々は、美しく着飾ってオペラやバレエ、音楽会へ出かけることで、寒くて長い冬の外出を楽しみ、独自の劇場文化が育まれてきました。
今回展示するのは、音楽写真の第一人者、木之下晃さんの作品。木之下さんは舞台の世界に魅せられ、世界中の音楽家や劇場を40年にわたり撮り続けてきました。被写体の内面を凝視し、音楽とともに刻一刻と変わっていく表情を捉えた木之下さんの写真は、世界的に高く評価されており、中には「木之下さんならば、特別に撮影許可を出す」という音楽家もいるほどです。
そんな木之下さんの作品の中から、今回はフランス国内の劇場を撮影したものを選び、展示いたします。その迫力と美しさ、そして「音楽が聞こえてくる」と称される写真の世界をお楽しみください。
1936年、長野県生まれ。日本福祉大学卒。中日新聞社、博報堂を経て写真家として独立。音楽家やコンサートホールの撮影をライフワークとしている。1971年日本写真協会新人賞受賞、2005年日本写真協会作家賞を受賞。写真集には『音楽家のオフステージ』(東京書籍)、『木之下晃 武満徹を撮る』(小学館)、『MARTHA ARGERICH/木之下晃作品集』(ショパン)など多数。1986年には『世界の音楽家』(小学館)で芸術選奨文部大臣賞を受賞している。