「カルコグラフィー : ヴィジェ・ルブランと マリー=アントワネット」展

華麗なる宮廷を描いたヴィジェ・ルブラン。

 マリー=アントワネットと同い年で、肖像画家として重用された彼女は、 “マリー=アントワネットの画家”“美貌の女性画家”として広く知られていますが、その作品をまとめて見る機会はなかなかない作家であることも間違いありません。

 3月1日より三菱一号館美術館で開催される「マリー=アントワネットの画家 ヴィジェ・ルブラン展―華麗なる宮廷を描いた女性画家たち−」は、世界各地から集められたルブランの作品を見ることのできるとても興味深い展覧会です。

 そこでMMFギャラリーではカルコグラフィー(銅版画)で、ヴィジェ・ルブランとマリー=アントワネットの世界を楽しんでいただく企画展示を開催中です。

本場フランスの研究者による解説。

 この展示のために、フランスでのヴィジェ・ルブラン研究家、フランソワーズ・ピット=リヴァース氏に解説を寄せていただきました。


 今回のピット=リヴァース氏の解説はヴィジェ・ルブランの画家としての技量のみならず、対象を見る情緒的で感傷的な眼差しを浮彫りにしていています。画家と王妃の間に生まれた「絆」に焦点を当てた氏の解説からは、画家としての鋭い観察眼とは別に、「よき友」として王妃を見つめたヴィジェ・ルブランの眼差しこそが、作品の魅力となっていることがわかります。

 日本ではこれまで、大きく取り上げられることの少なかったヴィジェ・ルブランですが、本場フランスの研究者の解説を通じて、マリー=アントワネットと心を交わせた女流画家の魅力を、よりいっそう親しみをもって楽しんでいただけることと思います。

▲《ヴィジェ・ルブラン夫人と娘の肖像》
ルーヴル美術館カルコグラフィー工房
21,000円

▲《マリー=アントワネットとその3人の子供たち》
ルーヴル美術館カルコグラフィー工房
17,000円

フランソワーズ・ピット=リヴァース

アメリカ・イェール大学院就学後、ユネスコでの勤務を経てパリで出版関係の仕事に就く。哲学が専門だが、文学と美術にも強い関心があり、初めて発表した著書『バルザックと美術』(Balzac et l'art, 1994年)にてフランス国立学術団体アカデミー・フランセーズから表彰される。2001年に、ヴィジェ・ルブランの伝記 (Madame Vigée Le Brun*)を発表、2010年秋には、18世紀に最も活躍した女性画家の一人で、ヴィジェ・ルブランとも交流のあったスイス出身のアンゲーリカ・カウフマンの伝記(Le destin d'Angelica Kauffmann)を発表。

*ピット=リヴァース氏によるヴィジェ・ルブランの伝記はB1Fインフォメーション・センターで閲覧可能です。

 
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