ミュゼの恋人たち 2005.2.1-2005.3.30
MMF館内では美術作品に秘められた愛の物語をご紹介しています。
それはまるで、ミュゼ(美術館)の静寂の中から聞こえてくる恋人たちの熱いささやきのようです。

Paolo et Francesca

接吻 Le baiser
オーギュスト・ロダン(1840-1917)
1886年
樹脂製複製


オーギュスト・ロダンの作品「接吻」は、イタリア文学最大の古典、ダンテの長文叙事詩『神曲』の中の、ある悲恋をテーマにしたもの。描かれたのは、政略結婚の相手が容姿の醜さを偽るために送り込んだ代役パオロと、結ばれることのない恋に落ちてしまったフランチェスカが交わさんとする禁断の接吻・・・

彫刻家ロダンは長年連れ添った女性がありながら、才能溢れる美貌の弟子カミーユ・クローデルとの愛に揺れました。その愛憎のドラマは彼女の名前をタイトルとした映画にもなり、印象深くご記憶の方もいらっしゃることでしょう。
ロダンの生涯・作品についての
ABC絵本
『彫刻家の絵本 ロダン』
ロダン「パンセ:カミーユ・
クロデールの肖像」1886-1889
オルセー美術館
©Photo RMN/Jean Schormans/
distributed by DNP
     
作品「接吻」の類作に
ついての書籍『Le Baiser 接吻』
「接吻」は当初、ロダンの未完の大作「地獄の門」のために構想されました。ロダンといえば知らぬ人のいない名作「考える人」もまた、「地獄の門」に取り組む中で生まれた作品です。「地獄の門」は、現在のオルセー美術館の地に計画予定であった、装飾美術館のために、国から注文された作品でしたが、美術館建設が中止にいたっても、ロダンは自らの作品として40年近くにわたり手を入れ続けました。
独立した作品として発表された「接吻」は大変な人気を博し、その後ブロンズや大理石による数多くの類作がロダン自身によって作られました。


「恋愛こそ生命の花」という言葉を残したロダンにとって、作品「接吻」は、愛についての偽りのない真実を映し出した作品なのかもしれません。
ロダン「地獄の門」1880-1917
オルセー美術館
©Photo RMN/distributed by DNP

■オーギュスト・ロダンの「地獄の門」「接吻」は東京上野の国立西洋美術館にてご覧になれます。
MMFで出会う、愛の物語
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