© Ministère de la Culture - Médiathèque du Patrimoine, Dist. RMN / Denise Colomb

フランス人女流写真家のまなざし〜パリ、そして芸術家たち〜

 2年に一度、偶数年の11月、パリのアートシーンで最も注目されるイベントといえば「Mois de la Photo à Paris(パリ写真月間)」。市内の美術館やギャラリーなど、およそ70〜80ヵ所でさまざまな写真展が開かれ、写真に関する講演会や上映会も行われます。
 開催年である今年は、「パリ写真月間」が30周年を迎える節目の年。例年にも増してにぎやかに繰り広げられることでしょう。

 今年のコンセプトは、「Paris Collectionne(コレクションするパリ)」。1980年の第1回開催以来、ヨーロッパ写真館(MEP)をはじめとする団体が所蔵するフランスの写真の素晴らしさを伝えることを、開催理念のひとつとした「パリ写真月間」らしいテーマです。

 そこで、MMFギャラリーでは、「Paris Collectionne」にちなみ、パリの各美術館・ギャラリーがこぞってその作品を所蔵する、フランスが誇る女流写真家ドゥニーズ・コロン(1902-2004)の写真展を開催します。芸術家のポートレートや水溜りに映るパリの連作などを発表し、高い評価を受けたコロンは、90歳を越えてもなお、人間と芸術に対する時代の証言として写真を撮り続け、101歳で没するまで、変わらぬ情熱を持ち続けました。

 彼女にだからこそ見せたであろう、著名な芸術家のさりげない普段の表情、そして彼女が生きた時代の何気ないパリの街角の風景──。モノクロであるからこそより強く見る者の想像力をかきたてる12枚の作品をご覧いただきながら、写真を通して彼女が表現しようとしたその世界観をじっくりとお楽しみください。

ドゥニーズ・コロン

1902年、パリ生まれ。本名はドゥニーズ・ローブ。パリでチェロを学んだ後、1935年、夫とともに訪れたインドシナ滞在中(1935-1937)に写真を撮り始める。1948年、マルティニク島の詩人エメ・セザールの招きで西インド諸島を旅する。

© Ministère de la Culture - Médiathèque du Patrimoine, Dist. RMN / Denise Colomb

その後、『Le Leicaïste, Regards』、『Le Photographe, Réalités』などの著名雑誌に寄稿し、人間への共感に満ちた作品を次々に発表。1947年、ロングシリーズ「芸術家のポートレート」に着手し、兄ピエール・ローブの持つギャラリーに集う芸術家たちを撮影。芸術家の素性やその夢、そして儚さに影響を受けながらも、有名無名を問わず、 芸術家たちへの情熱は変わることがなかった。1983-90年にかけては水溜りに映るパリの連作を撮影。2004年、101歳で没。

 
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