MMF5周年特別企画 ポンピドー・センター 美術館情報
ポンピドー・センター館長インタビュー
開館5周年を迎えたMMFにインタビューを通じてポンピドー・センター館長、
アラン・セバン氏よりメッセージが届きました。
   
   
 
  MMF : 1年ほど前にポンピドー・センターの館長に任命されましたが、現在どんなプランをお持ちですか?
アラン・セバン氏(以下ASE): 私はポンピドー・センターの30周年の年に館長になるという栄誉を得、また同時に当センターの強みや評判、またはスタッフの姿勢を知ることができました。ポンピドー・センターには年間600万人近い人々が訪れ、広く人々の人気を集めています。そして、現代アートのすべての分野に開かれた国際的指標となる施設でもあります。私のプランは、ポンピドー・センターの基礎となる方針、なかでも複数の分野を扱うこと、すべての人に開かれた場所であることを更に強化することに根ざしています。そうすることで、最先端の生きた芸術に十分な場所を与え、フランスの文化シーンの威光を強めることができると考えています。

MMF : 主な方針はどんなものですか。
ASE : 現在、以下のような7つのプランがあります。
・フランス東部の分館、ポンピドー・センター・メッツの充実
近現代美術では世界でも最も豊かなポンピドー・センターのコレクションをよりよく展示します。
・ 解体持ち運び可能な展覧の構造、可動式ポンピドー・センター
文化を紹介する古典的な方法がうまくいかないあらゆる場所に、ポンピドー・センターのコレクションを持って行くことを可能にします。
・ パリでの新しい展示会場ポンピドー・センター・アルマ
存命作家の個展をより充実させます。
・ フランスや世界の創作の現在を革新するフェスティバル
視覚芸術からデザインや建築まで、スペクタクルやパフォーマンスなども含めたあらゆる分野の最先端の芸術の傾向を紹介します。
・ 美術の主要な新興国インドを対象にした全く新しいタイプの大規模展
・ バーチャル・ポンピドー・センター
インターネットを通じて新しい形の文化を提供します。
・ 世界の大美術館・博物館で初めて、青少年のためのスペースの設置

MMF : ポンピドー・センターの活動は、パリのポンピドー・センター内には留まりません。センターの政策において、日本はどのような位置を占めていますか。
ASE: ポンピドー・センターは、非常に強い、特別といっていい関係を日本と結んでいます。2007年、国立新美術館のオープニング記念に行った「異邦人たちのパリ」展、森美術館で来夏予定されている「アネット・メッサジェ」展など、定期的に展覧会を開催しています。また、パリのポンピドー・センターでは積極的に日本人作家を紹介しています。1986年の「前衛の日本」展から、今年開催予定の吉田喜重回顧映画祭、安藤忠雄展(1993年)、黒川紀章展(1997年)などの展覧会を開催し、またコレクションに日本人作家の作品を増やすよう努力しています。未来のメッツ・ポンピドー・センター建築にあたって、日本人建築家坂茂氏を選んだのは、ポンピドー・センターの姿勢を象徴しているといえるでしょう。

MMF : 日本にポンピドー・センター友の会を創立することをお決めになりましたが、友の会はどんな役割を担うのですか。
ASE : 長年の間、日本の企業やさまざまな民間のパートナーが、私たちの活動を支援してくれています。この場をお借りして、厚くお礼を申し上げます。今日、ポンピドー・センターは、日本との関係を強化するために新しいステップに進みたいと考えています。ポンピドー・センター友の会をつくるために、権威ある方々を中心に組織委員会が設けられましたが、ポンピドー・センターはこの尽力を支持しています。この友の会は、ポンピドー・センターを日本でよりよく知ってもらうこと、またポンピドー・センターが日本人作家の作品購入、展覧会組織、研究、出版などを通じて日本の美術を紹介するにあたって、これをサポートすることを使命としています。アメリカでは30年来、ポンピドー・センター財団が積極的に私たちの活動を支援してくれています。日本もそれに続き、センターの活動に関心を持ち、日本との関係をますます発展させるような視野をもって活動を支えてくれる方々のネットワークを築いてくださることでしょう。
 
 
© Georges Meguerditchian, Centre Pompidou / Centre Pompidou.
Architectes: Renzo Piano et Richard Rogers. / Photo Georges Meguerditchian
© Georges Meguerditchian, Centre Pompidou
アラン・セバン氏
1964年生まれ。エコール・ポリテクニーク、パリ政治学院、国立統計・経済行政学院卒業。1991年、国立行政学院卒業後、国務院修習官に任命される。1995年文化大臣官房参事官になった後、1997年、再び国務院に入り、政府委員に任命される。同時に「諸芸術・諸文明博物館」、後に「ケ・ブランリ美術館」設立準備委員会会長顧問を勤める。2005年3月、大統領官房教育文化参事官に就任。2007年4月から現職。芸術・文学勲章受勲。

ポンピドー・センター 美術館情報
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