今日はどんなお話が聞けるのだろうと期待に満ちた会場に、さっそうと登場された鹿島先生。先生のよく通るバリトンが、みるみるうちに観衆全員をフランスの歴史世界へと誘います。
「フランス王室には、外国の王家から妃を迎える習慣が古くからありました。カトリーヌはイタリア・メディチ家、マリーはオーストリア・ハプスブルグ家、そしてウジェニーは王族ではありませんが、スペイン貴族出身です。香水は国境を越えた文化・技術交流なしに発展はありえませんでした。外国の風俗・習慣などをフランス宮廷にもたらした王妃と香水には、必然的に深い関係があるのです」
先生によれば、ヨーロッパ最初の香水は、1370年頃にハンガリー王女エリザベートによって作られた“ハンガリー王女水”だとのこと。じつは当時のヨーロッパでフランスは、こと香りに関しては後進国でした。
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