真夏のような陽射しが降り注いだこの日、爽やかなストライプのシャツで登場された吉岡正人先生。「今日はモネについて、そしてモネに“便乗して”私の言いたいこともお話しさせていただきたいと思います」と、ユーモアを交えた軽妙な語り口でサロン講座は始まりました。
モネの年譜をもとにお話は進みましたが、要所要所で先生が加えられるモネのエピソードは、参加者の皆さんから笑いや驚きの言葉が漏れるものばかり。モネに関してはすでに語りつくされている感がありますが、著書『モネ 名画に隠された謎を解く!』(中央公論新社)のために、実際、作品が描かれた地をたどる旅をされた先生が語られるお話はどれも新鮮です。
例えば、美術史の本や画集では「モネに戸外制作を勧めたのは、同郷の画家ブーダンであり、彼がモネの画家としての目を開かせた」という一文でのみ語れることが多いこの運命的な出会いの背景にも、とても興味深い話が隠されていました。
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