第4回「ルーヴル美術館の歴史、フランス革命からナポレオンの時代」
ルーヴル美術館を通じて、古代から近代までのそれぞれの時代を見る全4回の連続講座。3月のテーマは、「ルーヴル美術館を通して見る<中世>と<近代>」です。最終回となる第4回は、フランス革命前後のフランス史におけるルーヴルの存在について、上智大学名誉教授の磯見先生にお話いただきました。

 「1789年7月14日、バスティーユ襲撃=フランス革命の勃発、こんな図式には何の意味もありません」きっぱりとした口調でこう切り出された磯見先生。まずは今講座のテーマである「フランス革命」がなぜ起こったのか、少し前の時代から遡ってみてみることとなりました。そして、16世紀以降のフランス王室の歴史が丁寧に紐解かれてゆきました。
 16世紀のフランスの王を輩出したのは<ヴァロワ家>でした。16世紀初め、フランスにルネサンス文化を伝えたフランソワ1世から、メディチ家出身のカトリーヌ・ド・メディシスを王妃として迎えたアンリ2世、宗教改革の時代、聖バルテルミの虐殺を経験したシャルル9世、ユグノー戦争の渦中で王位を継いだアンリ3世までです。そして、17世紀、<アンリ大王>ことアンリ4世から<ブルボン王朝>の時代が始まります。17世紀は、フランスが絶対王政を確立させた時代ですが、その反発がやがて貴族の復興として表れ、18世紀フランスは<貴族の時代><啓蒙の時代>を迎えることになるのです。
 しかし、理性を尊ぶ啓蒙思想のみがフランス革命の背景ではありません。「フランス革命の最大の原因は財政問題です」磯見先生はこう語り、<三部会>から<国民議会>の成立を経て革命が始まり、<立法議会>、<国民公会>からナポレオンの総裁政府へと移行していった、フランス激動の時代を、軽快な口調で分かりやすく説明してゆかれました。
 講座のはじまりに、「今回の講座名は、<ルーヴルを通してみる時代>ですが、僕はその逆、時代の中にルーヴルを置きながら、話を進めてみたいと思います」と語った磯見先生。惜しげもなく知の引き出しを披露なさる先生のお話に、フランス史におけるルーヴルの位置づけを明らかにすることのできたサロン講座となりました。
 講座の後は、ホワイエに出て磯見先生を囲んでのティータイム。参加者の方々が、サロンの間にふと疑問に思われたことを先生に自由に質問なさる様子は、サロン講座ならではの光景でした。