フィンランドの伝統的工芸 白樺で作るクリスマスオーナメント

クリスマスのイルミネーションで華やぐ銀座で12月13日、MMMワークショップが開催されました。現在、MMMで開催中の「フィンランドのクリスマスとマリメッコの世界」(1月13日まで)の特集にちなんだ今回のワークショップでは、北欧雑貨店「キルップトリ」を営む島田薫さんに、フィンランドの白樺樹皮を用いたクリスマスオーナメントの作り方をレクチャーしていただきました。

 会場に入ると、素朴で温かみのあるさまざまなクリスマスオーナメントがディスプレイされ、机上には白樺樹皮や木のクリップのほか、ジンジャーブレッドクッキーや「グリーンボール」と呼ばれるポップな色のゼリーといった、北欧のクリスマスならではの甘いお菓子も用意されています。可愛い雰囲気に包まれている会場に、参加者の皆さんの期待も高まっている様子です。
 まず、島田さんは、ご自身の活動について紹介してくださいました。「店名の<キルップトリ>はフィンランド語で蚤の市という意味。年に3回くらい、北欧の蚤の市に足を運び、私たちの暮らしに合うようなものをハンティングして皆さまにご紹介しています」と、北欧の蚤の市やクリスマスの町の様子などをスライドを織り交ぜながら説明してくださいました。

そもそも島田さんは北欧に短期留学したことがきっかけで、この地域の暮らしが自分の肌に合うと感じたとか。「北欧は手工芸が盛んな国で、モノを大事にする文化があります。ある程度高くても良いモノを選んで長く使い、いらなくなったらセカンドハンド(中古品)に回す。そういうマインドが根付いている国に惹かれたんです。蚤の市は、私にとって宝探し。掘り出し物が見つかるので、やめられないんですよね」と、北欧に魅了された理由を笑いながら明かしてくださいました。

 続いて材料の白樺について話は進んでいきます。「白樺は100年経っても丈夫で、白樺で作れないものはないと言われています」と島田さんがお話ししてくださったように、フィンランドの国樹である白樺は、耐久性に優れていることから、生活道具はもちろん、服や靴などの身に着けるもの、家の屋根、船、漁師が使う網や浮きなど、あらゆるものに使われてきたそうです。しかし昨今、白樺樹皮は、年に一度のみの採取と決められている上、1本の木に対して一回しか樹皮を剥ぐことができないため、希少性が高いものになりました。「私が白樺細工にはまり始めたのは2〜3年前のことです。職人さんの後継者不足といった話を聞いていくうちに興味を持ち始めました。使うごとにあめ色に変わっていく様子が楽しいですし、しっとりとした独特な質感は革のような感じで、手に優しいところも好きですね」とその魅力を語ってくださいました。
 フィンランド人の生活に欠かせない白樺の魅力に触れた後は、いよいよ白樺樹皮を使ったクリスマスオーナメント作りのスタート。まずは「雪の結晶のオーナメント」からレクチャーしてくださいました。参加者たちは、島田さんから直接アドバイスをいただいたり、島田さんが用意してくださった丁寧な“レシピ”を見たりしながら、オリジナルのオーナメントを完成させることができました。

お次は、4本のテープ状の白樺を何度も折り返したり、編み込んだりしながら作る「星のオーナメント」。「フィンランド人の職人さんは、“日本人は折り紙を知っているからつかみが早い人が多い”と言っていました」とお話しされた島田さんの言葉通り、皆さんスムーズに制作することができたようです。最後は会場内にある木製のクリスマスツリーにご自身のオーナメントを飾って、“インスタ映え”する写真をスマートフォンに収めていました。
 白樺の貴重さや北欧の人々のモノを大切にする心、そしてフィンランドのクリスマスの楽しみ方に触れることができた充実のワークショップとなりました。

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