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ソール・スタインバーグ
シニカルな現実世界の
変換の試み
Saul Steinberg
Lines that Transform the Real World

gggで開催した日本初の大規模個展の公式図録

 ニューヨークを拠点に活躍し、アメリカでもっとも愛された芸術家のひとりに挙げられるソール・スタインバーグ。MMMに隣接するggg(ギンザ・グラフィック・ギャラリー)では、「ソール・スタインバーグ シニカルな現実世界の変換の試み」(3月12日(土)まで)が好評のうちに、閉幕しました。
 ドローイングを「紙上で推論する方法」と考えたスタインバーグ。神話化されたアメリカの理想像と現実とのギャップや不気味で滑稽な不条理を、ユーモアと風刺をきかせた軽妙かつ鋭利な線で描き出し、「見えない線」、「見えないもの」、「見えない言葉」、「見えない構造」を視覚化することを追求し続けた芸術家でした。人々からは「描く文筆家」、「言葉と音の建築家」、「境界線上の芸術家」、「新しい思想の起案者」などと呼ばれ、『The New Yorker』をはじめ多くの新聞や雑誌などで、あらゆるスタイルと表現方法を披露してきました。
 今回の展覧会では、スタインバーグからの影響を受けたというイラストレーターの和田誠氏をはじめ、ニューヨークのソール・スタインバーグ財団、フランスのマーグ画廊などからの協力を得て、ポスター、リトグラフ、エッチング、木版画、作品集など約280点の作品を紹介。本展の監修を行った矢萩喜從郎氏は、スタインバーグについて、「単に面白さを狙ってドローイングを描いているかと言うと、そうではない。(中略)目に見える見えないに関わらず、人間社会の中で暗黙に認識、了解しているものの、意味変換、概念変換に挑戦し、あらためて原初となる意味を確認し、世界に対してどの様に眼差しを注ぎ再考すべきかを、我々、見る側に迫ったものと言っていい。その中には、我々一人一人の存在の意味を問う、極めて重要な問い掛けも含まれているように、スタインバーグのドローイングは、実に刺激的な作品になっている。(本文抜粋)」と語ります。スタインバーグの作品は、見る人の個性や感性はもちろん、繰り返し見れば見るほど作品の解釈も深まっていきそうです。
 スタインバーグの逝去から22年――、どのような芸術家だったのか、改めて見直すことができる一冊。展覧会終了後もご購入を希望される声をたくさんいただいたため、引き続き販売をいたします。

ソール・スタインバーグ シニカルな現実世界の変換の試み
Saul Steinberg Lines that Transform the Real World
企画・編集:公益財団法人DNP文化振興財団
監修・デザイン・テキスト:矢萩喜從郎
翻訳:有限会社フォンテーヌ
発行:公益財団法人DNP文化振興財団
価格:1,650円(税込み)
 ※この情報は2022年2月更新時のものです。
03-3574-2380 営業時間/11:00-19:00
(日・祝日、年末年始、3月末日、9月末日を除く)

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