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ggg×MMM連携企画
<第二弾>
「書籍で辿るgggの35年」展②

12月10日(金)~3月12日(土)

世相を反映した35年分の貴重な書籍
 MMMでは現在、来年3月まで「書籍で辿るgggの35年」展と題し、MMMに隣接するggg(ギンザ・グラフィック・ギャラリー)と連携した特別展を行っています。gggでは、12月10日(金)より3月12日(土)まで「ソール・スタインバーグ シニカルな現実世界の変換の試み」を開催。本展に合わせてMMMでも同期間中、スタインバーグがニューヨークを拠点に活躍した芸術家であることにちなみ、「ニューヨークを舞台とした作品を中心に、貴重な書籍で辿るggg35周年」と題した展示を行います。

 スタインバーグは『The New Yorker』などの雑誌で活躍し、日本でも和田誠さん、藤子不二雄さんら多くのイラストレーターや漫画家に影響を与えました。ドローイングを「紙上で推論する方法」と考えて、ユーモアと風刺をきかせた軽妙かつ鋭利な線を描くデザインで、世界的に有名な芸術家のひとりとなりました。
 また、ニューヨークを舞台にエポック的なデザインを生み出してきたのが、ポーラ・シェアです。「シェアのデザインはニューヨークそのもの」と言われるほどで、今でもマンハッタンの街を歩けば、シティバンクのロゴやハイラインの案内表示などシェアが手掛けた作品に出会うことができます。

 そして20世紀でもっとも影響力のあったデザイングループといえば、ニューヨークのプッシュピン・スタジオでしょう。デザインやイラストレーションの流れを変えたといっても過言ではない、4人で構成された集団は世界中に「プッシュピン」旋風を巻き起こしました。日本を代表するアーティスト、横尾忠則さんも影響を受けたというひとりです。
 「どんな仕事でも、シンプルに眼に訴えるものに仕上げる。同時に変容性とか曖昧性を加え、人の心を喚起するように心がける。またできるかぎりユーモアを忘れない」と語るのは、ニューヨーク出身のソール・バス。グラフィックデザイナーであり、映画作家でもあった彼の名を映画ファンなら一度は聞いたことがあるでしょう。『ケープ・フィアー』『ウエストサイド物語』『グッドフェローズ』など60本以上の映画のグラフィックシンボルと、40本以上の映画のタイトルデザインを手掛けました。とくに、ヒッチコックの『サイコ』のあの印象的なシャワーシーンもバスの指揮だというから驚きです。

 今回のMMMの特別展では、これらニューヨークで活躍した芸術家たちの作品集やgggの展覧会記録ともいえるアニュアルレポートなど、一般書店では購入できないものや、すでに在庫が少ない貴重な書籍からggg35年の軌跡を辿ります。また、ニューヨークデザイン界の第一人者、アイヴァン・チャマイエフのリトグラフなども展示・販売いたします。
 「人種のるつぼ」ニューヨークだけに、そこから生まれた芸術作品は多種多様で、現代の人々にも多大な影響を与え続けています。35年分の貴重な資料を見れば、時代を超越しても色あせないデザインの理由や新たな魅力を再発見できるかもしれません。
 クリスマスのデコレーションが美しいこの季節。銀座の街を歩きながら、ぜひMMMにもお立ち寄りください。