フランスを代表する風刺画家の展覧会図録「サンペ パリとその他」Sempé, un peu de paris et d'ailleurs

『サンペ パリとその他』
Sempé, un peu de paris et d'ailleurs
23×28cm/293ページ
フランス語(一部英訳あり)/刊行2011年
本体記載価格/35ユーロ
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ジャン=ジャック・サンペという風刺画家をご存知でしょうか?名前だけではピンと来ない方も多いかもしれませんが、人気シリーズ『プチ・ニコラ』の漫画家です。わんぱく小学生ニコラが痛快ないたずらを繰り広げる『プチ・ニコラ』は、フランスの国民的コミック。フランス版『サザエさん』といえるほど、フランスの人々に親しまれている作品で、日本をはじめ、各国で翻訳版も出版されています。

そのサンペの業績をたどる初めての回顧展が、2011年10月から2012年2月まで、パリ市庁舎で開催され、大きな話題を呼びました。今月、MMFインフォメーション・センターからご紹介するのはその展覧会『サンペ パリとその他』のカタログです。

ページを捲ると、1ページ大、あるいは見開き大のサンペのイラストと、それらに呼応するサンペの言葉が現れます。サンペ語録は、いずれも味わい深いものばかり。「私はパリに夢中になった。誰もがかっこよく見えた」と、ボルドーに生まれ、生涯パリを礼賛し続けたサンペの率直な思いがつづられる一方で、「メランコリーとノスタルジーは人生の一部である。幸せは過ぎ去ったとたん、メランコリックになるものだ」と含蓄のある言葉も登場。また、「私は絵を描き始めたとき、幸せな人々を描きたいと思った。(中略)狂気のさただと思うだろう?でも、それが私の個性なんだ」といった、サンペの創作への姿勢を物語るフレーズも印象的です。パリの街や、そこに暮らす老若男女の姿、彼らの人生のひとコマを描いたイラストは、それだけ見ても面白いものばかりですが、そこにサンペの言葉が添えられることで、まるで絵本を読むかのような楽しみ方ができるのです。

ユーモア溢れるサンペの世界、そしてサンペの人となりや人生を、画家自身の言葉とイラストでたどることのできる一冊です。

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