ノルマンディー美術館展覧会カタログ『レース モードが一本の糸になるとき』Dentelles. Quand la mode ne tient qu'à un fil
ノルマンディー美術館展覧会カタログ『レース モードが一本の糸になるとき』
『レース モードが一本の糸になるとき』
Dentelles. Quand la mode ne tient qu'à un fil
24.5×28cm/173ページ
フランス語/刊行2012年
本体記載価格/29ユーロ
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時代を超えて人々を魅了するレースの美をひもとく

今月ご紹介するのは、2012年6月から11月まで、カンのノルマンディー美術館で開催されていた展覧会「レース モードが一本の糸になるとき」の公式カタログです。レースといえば、現在は女性のファッションを彩るものとして定着しています。しかし、16世紀にニードルレースがイタリアで発明されて以降、王侯貴族をはじめ富を有した男性たちもステイタスシンボルとしてレースに夢中になりました。もちろんフランスの王たちも例外ではなく、ときにはレースにかける費用が国家予算を逼迫させるほどに膨れ上がることも珍しくなかったといいます。

今回の展覧会は、17世紀から20世紀初頭にかけて、フランスのレース産業の中心地として発展したノルマンディーの美術館で開催されました。服飾の芸術といえるレースの歴史をひもとくにふさわしい地です。まずカタログを手にすると、その美しい表紙に目がくぎ付けになります。イヴ・サンローランのドレスの背中に大胆に配されたレースは、現代も変わりなく多くの人々が、レースが持つ魅惑的な美しさの虜であることを証明しているようです。ページを繰れば、豪華な衣装を身にまとったルイ14世やナポレオンの皇后の肖像画とともに、同時代のレースの写真が掲載されています。なによりもうれしいのは、貴重なアンティークレースのひとつひとつが、クローズアップした写真で収録されていること。その繊細な美しさはため息が漏れるほどです。また、気の遠くなるような手作業でレース編みに従事した女性たちをとらえた風俗画などもともに収められています。細い糸の1本1本に、歴史を超えて多くの物語が編み込まれてきたレース。そんな奥深い世界を楽しめる一冊です。

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