アントワーヌ・ヴァトーと版画
『プラド美術館』
『アントワーヌ・ヴァトーと版画』
Antoine Watteau et l'art de l'estampe
著者/マリー=カトリーヌ・ザユ、フローレンス・レイモン
23.5×17.2cm/253ページ
フランス語/2010年
出版社/Musée du Louvre
本体記載価格:28ユーロ
※この情報は2015年11月更新時のものです。
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哀愁に満ちた甘美な絵画を築いた
ロココの始祖ヴァトー
その世界を見事に複製した版画を紹介する一冊

フランス・ロココの画家アントワーヌ・ヴァトー(1684-1721)。田園や森での男女の集いや愛の語らいを、哀愁を帯びたやわらかな色彩で描いた「雅宴画(fêtes galantes/フェトー・ギャラント)」は、18世紀の上流社会で絶大な人気を誇りました。その影響力の大きさは、全作品が版画化されているという事実からもうかがえます。今月のMMMライブラリからは、2010年、ルーヴル美術館で開催された「アントワーヌ・ヴァトーと版画」展の図録を紹介します。

全作品を版画として複製するという壮大な計画を実現させたのは、ヴァトーの友人のジャン・ド・ジュリエンヌでした。製造業に携わる裕福な市民であったジュリエンヌは、ヴァトーのパトロンとして幾多の名画の制作を支え、ヴァトーの没後には、その最初の伝記まで執筆したことで知られる人物です。ヴァトーが37歳の若さでこの世を去ると、その死を悼んだジュリエンヌは、全作品の版画化を構想。数十人もの版画家を動員して完成させました。それが、のちに『ジュリエンヌ画集』と呼ばれる全4巻のヴァトー作品集です。

本書には、展覧会に出品されたルーヴル美術館のエドモン・ド・ロスチャイルド・コレクションから約100点をすべて収録。フランソワ・ブーシェら錚々たる顔ぶれの版画家たちによる『ジュリエンヌ画集』の制作事業とともに、ヴァトー自身による版画制作も振り返ります。版画の時代、18世紀ヨーロッパが誇る名作の数々をぜひ、ご覧になってみてください。

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Update : 2015.11.1
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