ノルマンディ印象派フェスティバル ルーアン美術館展覧会図録 『印象派が描いた暮らしの情景 マネ、ルノワール、モネ、モリゾ』
『印象派が描いた暮らしの情景 マネ、ルノワール、モネ、モリゾ』
『印象派が描いた暮らしの情景 マネ、ルノワール、
モネ、モリゾ』
Scènes de la vie impressionniste Manet, Renoir,
Monet, Morisot...
著者/フレデリック・サンチェス
29.8×25cm/240ページ
仏語/2016年
出版社/RMN
本体記載価格/35ユーロ
※この情報は2016年8月更新時のものです。
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印象派の画家たちが描いた
“近代社会のポートレート”

4月16日から9月26日まで、フランスのノルマンディ地方で開催されている「ノルマンディ印象派フェスティバル」は、今年で3回目を迎えました。3年前に開催された第2回は、180万人もの来場者を集め、すっかり人気のアート・イベントとして定着してきているようです。

そして今年のフェスティバルのテーマは「印象派による肖像画」。印象派というと、屋外制作を通じた風景が代表的なモチーフと思われがちです。しかし、画家の私的な視点を通して描かれた近代的なポートレートもまた、印象派の画家たちが従来の画壇にもたらした新たな美の形でした。

今月ご紹介する一冊は、印象派フェスティバルの中心会場の一つルーアン美術館で開催中の「マネ、ルノワール、モネ、モリゾ――印象派が描いた暮らしの情景」展の公式カタログです。表紙を飾るのは、マネの代表作の一つ《スミレの花束を持つベルト・モリゾ》。当時流行していた黒いドレスに身を包んだモリゾの強い眼差しが印象的です。図録には、本展に出品されている、マネ、ドガ、ルノワール、モネ、モリゾ、セザンヌといった、印象派の時代を生きた“オールスター”の作品が大判サイズで掲載されています。さらに嬉しいのは、部分拡大やモデルとなった人物の写真、またアトリエでイーゼルを前にポーズをとる画家自身の写真も掲載されていること。ページを繰るたびに、ポートレートを通して、娯楽や女性、子どもたちの姿など、当時の社会背景も見えてくるから不思議です。印象派の画家たちが描いたのは、単なる人物画ではなく、近代社会そのもののポートレートであったことが、手にとるように分かる一冊です。

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Update : 2016.8.1
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