「オルセー: 駅舎から美術館へ」
 
 1986年、パリのセーヌ左岸に開館したオルセー美術館。昨年12月に20周年を迎えたばかりのこの美術館は、現在パリを訪れる多くの人々が足を向ける19世紀芸術の殿堂として、確固たる地位を築きました。人々がオルセーに魅了される理由は、収蔵品ばかりではありません。1900年、パリ万国博覧会の際に建てられた優美な駅舎を再利用した、その建物の背景そのものもこの美術館の大きな魅力となっているのです。
 開館20年を経て、オルセー美術館誕生の歴史は、広く知られるようになりましたが、今回ご紹介する本書では、テキストだけでなく、貴重な資料写真や図面資料などで、オルセー再生の歴史をつぶさに見ることができます。開館当時に発行された本書は、ときの大統領フランソワ・ミッテランの序文にはじまり、駅舎当時の写真はもちろんのこと、併設されていた豪奢なホテルの様子、廃墟同然の姿のオルセー駅、さらには美術館へと改築される際の図面や工事状況の写真などが豊富に収められています。ページを繰っていくと、まるでオルセー再生へのドキュメンタリーを見ているような気分にさせられる一冊です。
 東京で開催中の「オルセー美術館展 19世紀芸術家たちの楽園」にすでに足を運ばれた方も、これから行かれる方も本書で美術館の歩みを知れば、いっそう展覧会を楽しむ視点が広がることでしょう。
 
「オルセー:駅舎から美術館へ」
Orsay, de la gare au musée
28.0×21.4cm/208ページ
フランス語/刊行1986年
   
 
 
開館20年周年を迎えて再刊行された新装版。オルセーの20年の歩みを振り返るテキストがさらに加わった最新版です。
フランス語/刊行2006年
価格/11,880円(税込)
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