「皮膚すれすれに: 1850年から現在のストッキング、 モードと芸術の間で」
 

ストッキングとモード、 そして芸術との関係を探る
 ストッキングと女性の社会的地位との関係とは?芸術家たちに与えた影響とは?──
 現在、トロワ近代美術館では、こんな興味深いテーマの特別展「皮膚すれすれに」が開催中です。今月は、MMFのライブラリーに届いたばかりの同展のカタログをご紹介します。

 この特別展の特色は、ファッション史、そして美術史の双方から「ストッキング」にアプローチをしたということ。ファッション史という観点からは、19世紀中ごろ以降のストッキングの歴史が、デザインの変遷や素材の開発など、さまざまな方向から紹介されます。20世紀初頭、ベル・エポックの贅を尽くしたストッキングや、現代のランジェリー・デザイナー、シャンタル・トーマスの作品を含む250点を超える展示品からは、ストッキングの進化がいかに女性の社会進出に貢献してきたかがよく分かります。
 もうひとつ、ストッキングが大きな影響を与えたのが、芸術の世界です。
 
「皮膚すれすれに:1850年から現在のストッキング、
モードと芸術の間で」
À fleur de peau: Le bas, entre mode et art de 1850 à nos jours
28×24.2cm/232ページ
フランス語/刊行2007年
著者/エマニュエル・コケリー他
本体記載価格/39ユーロ

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ドガ、ロートレック、ヴァン・ドンゲン、ルオー、シャガール、ピカソ……近代を代表する芸術家たちの絵画や彫刻が「ストッキング」というテーマで、これだけ集められたのは、今回が初めてではないでしょうか。こうした作品を通じて分かるのは、ストッキングは彼らにとってエロティシスムの象徴となったということです。
 フランス文化省により「国民的関心の高い展覧会」のひとつに選ばれたこの特別展。その魅力を、詳細な解説と美しい図版で一冊の書物に収めたこのカタログは、ページを繰るだけで、その遊び心溢れる世界に触れることのできる一冊です。