『王の植物図譜』

「王の植物図譜」
L' Herbier du Roy
32.5×24.5cm/139ページ
フランス語/刊行2000年
著者/アラン・ルノー
価格/16,200円
30年の歳月をかけて編纂された
ルイ14世の植物図譜
 MMFwebサイトの連載「ミュゼあれこれ」では、現在、パリの自然史博物館を特集中です。17世紀、ルイ13世の勅令で創設された薬草園を前身とし、現在では、国内外から多くの来館者が訪れるフランス自然科学の殿堂として知られるミュゼです。併設のギャラリーでは、それぞれ定期的に展覧会が企画されますが、現在「植物園の歴史展示室」で開催され、話題を呼んでいるのが「王の植物図譜」展です。

 ルイ14世が“太陽王”として君臨した17世紀後半から18世紀にかけて、ヨーロッパは「啓蒙の時代」を迎えました。この論理と理性の世紀、科学技術の研究が盛んになされるようになり、フランスでは、1666年、王立科学アカデミーが設立されました。以降、アカデミーを拠点に、数々の研究書が出版されていきますが、植物学研究の集大成といえるのがルイ14世の命で編纂された『王の植物』でした。
 ルイ14世は、ヴェルサイユ宮殿にある菜園や果樹園での散策をことに好んだといわれています。そこには、大航海時代を経てフランスが獲得した植民地をはじめ、世界各地から届けられた珍しい植物が植えられていたのです。それらの植物は、王の命を受けた園芸家や植物学者、芸術家の手によって育種・研究・記録され、319点の細密な版画からなるこの植物図譜『王の植物』として結実しました。第1版が出版されたのは1676年、完全版が出版されたのは、18世紀になってからのことでした。
 今回の展覧会では、この『王の植物』から、ルーヴル美術館カルコグラフィー室および自然史博物館が所蔵する版画60点が出品されます。カタログには、全出品作のカラー図版とともに、モンペリエの国立中央化学センターの民族植物学者アラン・ルノー監修によるテキストを収録。ひとつひとつの植物を、植物学的、民俗学的、神話学的アプローチから紹介する充実した内容となっています。
●今月のカルコグラフィー
「精密な描写で記録されたルイ14世の植物図譜」
●ミュゼあれこれ
「自然史博物館」
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