『北野武/ビートたけし  ― 絵描き小僧』


『Beat Takeshi Kitano, Gosse de peintre』
24×34cm/250ページ
フランス語・日本語・英語/刊行2010年
価格/11,562円(税込み)


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カルティエ現代美術財団で開催中の北野武展
「笑える展覧会」の舞台裏を紹介するユニークな
カタログ

パリ14区にある、カルティエ現代美術財団では現在、「Beat Takeshi Kitano, Gosse de peintre(北野武/ビートたけし『絵描き小僧』)」展が開催中です。北野氏が芸術文化勲章の最高章「コマンドール章」を受章したこともあり、フランスメディアでも大きく取り上げられたこの展覧会の様子は、今月の特集 01でレポートしています。


日本では、コメディアン「ビートたけし」の方が映画監督「北野武」よりも有名かもしれませんが、フランスでは事情が違います。「キタノ映画」の独特の静謐感を醸す青みがかった映像は「キタノブルー」と呼ばれ高く評価され、封切り作品には「キタニスタ」を自称するファンが映画館前に列をなすほど、映画監督として崇敬を集めているのです。

今回の展覧会は、映画監督とコメディアンという“二足のわらじ”を履く氏が、現代芸術の分野にも挑戦したこれまでにない試み。「キタノ映画」に魅了された、カルティエ現代美術財団のエルヴェ・シャンデス氏からの熱心なアプローチによって、実現しました。

北野氏は、この展覧会の開催にあたって、「この個展を通じて、アートって言葉に、もっと別の意味を持たせられたらいいなと思う。アートって特別なものじゃなく、みんながすっと入って行きやすい、型にはまらない、もっと気楽なものであるべきだと思うから」と述べています。そして展覧会は、文字通り、子どもから大人まで存分に楽しめ、思わず笑ってしまうような“仕掛け”に満ちたものとなりました。

「笑える展覧会」というこれまでにないプロジェクトの魅力を一冊に閉じ込めたのが、今回ご紹介する展覧会の公式カタログ。北野氏が直接制作した絵画作品を収録しているのはもちろん、会場を飾るそれぞれのインスタレーションが完成する過程に焦点が当てられています。なぐり描きのようなアイデア・メモやインスタレーションのスケッチ、北野氏自身の言葉などを見事に編集し、雑多な要素を含んだアミューズメントパーク的展覧会が実現されていく舞台裏を紹介しているのです。

また、『Kitano par Kitano(キタノによるキタノ)』の著者ミシェル・テマン氏がインタビューアーとなった、北野氏との対談も収録されています。「北野武/ビートたけし」がどのように生まれ、どのように発展し、どこへ行くのか、そのすべてを解き明かす一冊です。


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