『作家と芸術家の家 パリとその周辺』


『作家と芸術家の家 パリとその周辺』
Maisons d'écrivains et d'artistes 
Paris et ses alentours
14.2×21cm/267ページ
フランス語/刊行2004年
著者/Hélène Rochette
本体記載価格/22ユーロ
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芸術家たちの素顔や作品世界に触れる
新しい旅のために

世界に名だたる文化大国として有名なフランス。1959年、作家アンドレ・マルローを大臣として文化省が発足した際、マルローは「国家予算の1%を文化施策に!」との目標を掲げ、以降さまざまな取り組みがなされてきました。その目標は1990年代に達成され、現在も変わらずフランスでは、国家予算の1%強が文化振興策に充てられています。2005年の文化省予算は約28億ユーロで、日本と比較すると約4倍もの予算が計上されていることになります。今月は、そんな文化大国フランスの一端を垣間見ることのできる一冊をご紹介しましょう。

古くからフランスは、多くの作家や芸術家たちを魅了してきた国でした。芸術を愛するフランソワ1世に招聘され、フランスにやって来たダ・ヴィンチの例を引くまでもなく、多くの才能のある芸術家が権力者に招かれ、または自らの意志でこの国の土を踏み、創作の舞台として多くの名作を生み出してきました。現在フランスには、「作家の家連盟(Fédération des Maisons d'écrivain et des patrimoines littéraires)」と呼ばれる組織があります。この連盟は、国内に点在する創作の現場となった作家の家々をリストアップし、紹介しています。その数およそ290カ所。その一軒一軒には、著名な作品を生み出したバックボーン、そして作家自身のプライベートな表情が刻み込まれているのです。

今回ご紹介するのは、そんな作家や芸術家たちが愛した家々を巡る際に、ぜひおすすめしたいガイドブックです。パリをはじめ、セーヌ河やオワーズ川沿いといったパリ近郊に残る作家や芸術家ゆかりの家々47軒を、ガイドブックの形態で紹介しています。ガイドブックというコンパクトな体裁ながら、家と作家にまつわるエピソードにはじまり、展示作品、また館の歴史などにも触れているので、読むだけでも、その人となりや作品世界がビビッドに立ち上がってきます。

紹介されているのは、ヴィクトル・ユゴー、バルザック、メーテルリンク、エミール・ゾラ、アレクサンドル・デュマといった文豪から、ドラクロワ、ゴッホ、モーリス・ドニ、ロダンなどの芸術家、さらにはモーリス・ラベルやエリック・サティといった音楽家まで、錚々たるラインナップ。この一冊を片手に、すべての館を踏破してみるといった旅も、また新たなフランスの楽しみ方かもしれません。

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