『伝説のトランク100―ルイ・ヴィトン―』


『伝説のトランク100――ルイ・ヴィトン――』
100 MALLES de Légende LOUIS VUITTON
序文:パトリック=ルイ・ヴィトン
25.8×32.4cm/496ページ
日本語版、フランス語版/刊行2010年
*日本語版(発行:河出書房新社)とフランス語版があります。

ルイ・ヴィトンの洗練美と多くの著名人を虜にした
美しきトランクの魅力を詰め込んだ「ルイ・ヴィトン大全」

2010年10月13日から2011年2月27日まで、パリのカルナヴァレ美術館では「都市を旅する ルイ・ヴィトンとパリ」展が開催されています。創業から150年以上を経たルイ・ヴィトンの歩みを振り返る展覧会ですが、展覧会をご覧いただけない方も、その世界観を存分に満喫できる豪華ヴィジュアル本が出版されました。今月は、1世紀半の歴史の中で生まれた“伝説のトランク”100点が紡ぐ物語をご紹介しましょう。

「鞄を見れば、その人物の人となりがわかる」

1921年の広告に踊ったこの言葉は、ルイ・ヴィトンのトランク製造への情熱を感じさせます。そしてこの思いは創業当時から現在に至るまで変わることなく貫かれているのです。それは、本書に掲載された王侯貴族や著名人との逸話からも見て取ることができるでしょう。

フランス第二帝政時代のファッション・リーダーであったナポレオン3世の王妃ウジェーヌのための蓋に丸みのあるトランク、宝飾商人カルティエのために作られた金庫用スーツケース、イギリスのエリザベス王女とマーガレット王女には、人形用のスーツケースが作られ、フランスからの贈り物にされました。

「芸術家、作家、建築家、音楽家にとって、自分の道具なしで旅行することは裸で移動するのと同じだ。カメラ、ヴァイオリン、絵画、本、楽譜、蓄音機、音楽スタジオ、そして触れることのできないイメージにいたるまで……もち運びできないものをいかに運ぶかを想像し、工夫することによって、新たなトランクの伝説が生まれる」(本書引用) 

スペシャルオーダーで作られたトランクは、それぞれの物語を秘めています。ルイ・ヴィトンのトランクは、顧客ひとりひとりの“旅”にひそやかに寄り添い、思い出や記憶をともに紡いできたのです。

創業者ルイ・ヴィトンの直系、5代目にあたるパトリック=ルイ・ヴィトン(ルイ・ヴィトン、スペシャルオーダー部門および顧客担当責任者)は、「はじめに」でこう綴っています。

「昔のトランクはもう旅行に使うことはできないが、その物語は時空を超えて、また別の道をたどる。本書は、そうしたトランクを無事に目的地へ送り届けてくれるのである……」

本書では厳選された100作のトランクをはじめ、貴重な歴史的写真、カード類など、800点以上の豪華ヴィジュアルで、ルイ・ヴィトンのトランクの魅力を余すところなく紹介するとともに、その洗練された品質と確かな技術が初めて詳細に解説されています。1世紀半のルイ・ヴィトンの歴史が生んだ旅と人生のエスプリを、存分に楽しめる一冊です。