ル・カトー・カンブレジ、マティス美術館
“色彩の巨匠”と呼ばれ、20世紀に独自の世界を切り開いていったアンリ・マティス(1869-1954)。世界でもっとも愛されている芸術家のひとりであるマティスの作品は、ポンピドー・センターやニースのマティス美術館で多くの来訪者の目を楽しませてくれます。今回ご紹介したい美術館は、まだ日本からの来館者が少ないという、北フランスのノール県にあるル・カトー・カンブレジ、マティス美術館です。

パリから車で約2時間に位置するその場所は、マティスの生まれ故郷。マティスはこのフランス北部、ヴァランシエンヌとカンブレの間にある、織物業と畜産市場として栄えた当時人口9,500人の小さな町で生まれました。南仏の光の恵みを受けた作品を晩年にもたらしたマティスが、北部の出身であることに意外な印象を持つかもしれませんが、マティスの長い熟慮と試行錯誤を重ねた上に生み出したその過程からは、北部の人特有の勤勉さを持つ人物像が浮かび上がります。北の生まれであったことを生涯忘れなかったマティスが、自分の作品82点を故郷に寄贈することを決め、生前に誕生した唯一のミュゼがこの美術館。1952年、その生涯を終える2年前、美術館開館を迎えた機会に、アンリ・マティスは「この世のみずみずしい美しさの一部を明らかにすること」に人生を捧げた喜びを示しました。

同美術館のマティスコレクションは、生前マティス自身がセレクトした作品をはじめ、その後加わった遺贈品の絵画、グワッシュ、切り絵、デッサン、彫刻、国からの委託品、財団の購入品で構成され、ポンピドー、ニースに次ぐ規模と内容を誇ります。マティス初期から晩年までの各時代の作品、そして制作過程の記録写真や詩、資料を通し、一人の芸術家のキャリア全体を辿れるようになっています。自然主義的な暗い色彩の作品から、印象派の影響を受けたのち、フォーヴと呼ばれ、南の眩い光を知り、あらゆる色彩を魔術師のように操るに至るまでの長い道のりを、芸術家の原点である故郷の地で見出せる喜びは、格別のものといえましょう。

美術館は、大幅な改修拡張工事を経て、開館50周年の2002年に再オープンしたばかり。クラシックとモダンが調和する建物と光にあふれる庭が作られ、マティスの言葉そのままに、展示作品のみならず空間全体として“この世のみずみずしい美しさ”を来館者に約束するミュゼに生まれ変わりました。

コレクションはマティスのほか、同郷の画家エルバンのコレクションや、 マティス、ピカソ、シャガール、ミロといった芸術家たちが自ら手がけた特装本、“livre d’artiste”(アーティストの本)の出版で著名なE.テリアドによる、版画やポートフォリオのコレクションも見応えのある内容です。

 Musée Matisse, le Cateau-Cambrésis
 Musée départemental
URL: http://wportail.cg59.fr/conseil59/annexe
/matisse/actualites.htm
所在地: Palais Fénelon 59360 Le Cateau-Cambrésis
休館日: 火曜日, 1/1 , 11/1 , 12/25 , 9/22
開館時間: 9月−5月は10:00-12:30, 14:00-18:00
6月−8月は10:00-18:00
入館料: 4.5ユーロ, 3ユーロ(15人以上の団体、学生、60歳以上), 18歳以下は無料

さらにマティスについてお知りなりたい方は・・・
MMFインフォメーションセンターでは、マティスを見るなら訪れたい3つの美術館、ポンピドー、ニース、ル・カトー=カンブレジについてのカタログ、書籍を閲覧用にご用意しています。
2003年、世界的に話題になった展覧会「MATISSE-PICASSO」のカタログ、DVDも閲覧いただけます。

国内展覧会情報
マティス没後50年を記念し、ポンピドー・センターの作品を中心にマティス展が開催。
国立西洋美術館にて [2004年9月10日(金)−12月12日(日) ]

ル・カトー・カンブレジ、マティス美術館にちなんだミュージアム・グッズは

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