フランス南西部に位置するトゥールーズ。
ヨーロッパの先端を行くテクノロジーの中心地として脚光を浴びる一方で、
古の時代から、文芸都市としての歴史を育んできた街です。
そして、今なお学問・研究都市としての顔をもつトゥールーズのシンボルのひとつが、
10年におよぶリニューアル工事を終え、昨年ようやく再オープンした自然史博物館。
最新のテクノロジーとミュゼオロジーを駆使し、来訪者の「五感を楽しませる」
──現代の博物館が向かう方向性の一例を示す展示法が印象的な博物館です。
250万点のコレクションを誇る由緒ある博物館 コンセプトから見直した抜本的リニューアル
 フランス南西部に位置するトゥールーズはフランス第6の都市。エアバスに代表される航空産業を擁し、ヨーロッパの先端を行くテクノロジーの中心地として脚光を浴びる一方、ローマ時代から芸術、文化の盛んな地として知られ、現在も人口の4分の1が学生という学術の街です。

▲来館者を迎えるエントランス。▲博物館の入り口側外観。  昨年リニューアル・オープンした自然史博物館は、探究心あふれるトゥールーズのシンボルともいえる由緒ある博物館。開館は1865年ですが、その歴史はフランス革命直後にまで遡ります。1794年、この地の科学学会が母体となって設立の端緒を切ったのです。そして、19世紀にはこの地方の先史時代の遺跡が次々と発見され、その発掘・研究を通じて、現在、博物館が擁する膨大なコレクションが形成されていきました。民俗学の資料が充実していることでも知られ、コレクションの総数は250万点にも上ります。
 完成までに10年の歳月を要したリニューアルは、博物館のコンセプトを根本から見直すという壮大な計画でした。そして、博物館の機能の充実が図られ、コレクションの修復も実現されることになったのです。従来のレンガ造りの建物に、ガラスのモダンなファサードが庭に面して付け加えられ、展示スペースも以前の3倍の広さとなりました。また図書館、オーディトリアム、会議や子供のためのワークショップなど、利用者の年齢に合わせて一般の人々が利用できる施設が整いました。
▲エントランスには、空飛ぶ最大の恐竜、ケツアルコルトスの骨格標本と、アジアゾウの剥製がある ▲鉱石標本。透明なフロアの下には、山から運ばれた石の説明のため、小川が流れている
田中久美子(Kumiko Tanaka/写真・文)
ページトップへ
ページトップへ

コンセプトから見直した 抜本的リニューアル見て、聞いて、触って…… 五感で楽しむ自然史博物館が示す 進化したミュゼのかたち
トゥールーズ自然史博物館
  • 所在地
    35 allées Jules Guesde
    31000 Toulouse
  • Tel
    +33(0)5 67 73 84 84
  • E-mail
    valhuber@mnhn.frv
  • URL
    http://www.museum.toulouse.fr/
  • 開園時間
    10:00〜18:00
  • 休館日
    月曜日、1月1日、5月1日、12月25日
  • 入館料
    <通常料金>
    ・一般:7ユーロ
    ・割引料金:5ユーロ
トゥールーズ基本情報
  • コンコルドやエアバスをはじめとする航空宇宙産業の拠点。街の歴史はローマ時代にまで遡り、ルネサンス期には穀物や藍染料の交易で繁栄した。ガロンヌ川でとれるピンク色の粘土からつくった赤レンガの家が軒を連ねることから「バラ色の街」と呼ばれる。
  • アクセス
    <空路>
    パリからトゥールーズ・ブラニャック(Toulouse Blagnac)空港まで1時間20分。市の中心部までバスで15分
    <鉄道>
    パリ・モンパルナス(Montparnasse)駅からTGVアトランティック線でトゥールーズ・マタビオ(Toulouse-Matabiau)駅まで約5時間。市内へは徒歩20分、メトロで2駅。
  • トゥールーズ観光案内所
    http://www.toulouse-tourisme.com
  • MMFインフォメーション・センターでは、エール・フランスの機内誌「Bon Voyage」のトールゥーズ特集号をお取り扱いしています。
MMFで出会える自然史博物館

*情報はMMMwebサイト更新時のものです。予告なく変更となる場合がございます。詳細は観光局ホームページ等でご確認いただくか、MMMにご来館の上おたずねください。

backnumber