• 中世の城に設立された博物館
  • 古の風景を呼び起こすコレクション
  • 中世の展示と特別展示室

国立考古学博物館

© Yoko Masuda

遥か古の風景を呼び起こすコレクション

人類の起源を知る−旧石器時代、新石器時代

▲クリスタル製の削り道具。 
©Photo RMN - Loïc Hamon

 7部門に分かれた博物館の展示は、約80万年前から紀元前約5500年にかけての旧石器時代のコレクションの紹介から始まります。ヨーロッパに住み着いた原人ホモ・エレクトスから旧人のネアンデルタール人、そして新人と、年代順に人類の「発明」の歴史の展示が続きます。火の使用、狩猟の際に使用した道具や石器の展示からは、それらが時とともに進化し、かたちが規格化されていく過程が見て取れます。ネアンデルタール人は最も早い時期に美的要素に関心を持った人類であり、クリスタルや碧玉で作られた削り道具も発見されています。新人の時代になると、狩猟や釣りのための道具や武器の種類が豊富になるだけでなく、それらにはっきりと芸術的、かつシンボリックな要素が表れるのが特徴です。洞窟画やオブジェへの装飾もこの時代から見られるようになります。女性をモチーフとした彫刻や動物の絵柄、装飾品などの展示は、この時代の美的意識を示す貴重な資料となっています。《ブラッサンプイの婦人(La dame de Brassempouy)》はマンモスの牙に女性の顔が彫刻された2万2000年も前の驚くべき例のひとつです。


▲《ブラッサンプイの婦人》。旧石器時代の展示室ではレプリカの展示、「ピエットの部屋」ではオリジナルの展示が行われている。
© Photo RMN - Jean-Gilles Berizzi
▲女性をモチーフにした彫刻《ヴィーナス》。紀元前2万5000年。
© Photo RMN - Jean-Gilles Berizzi
▲小鹿がモチーフの狩猟のための道具の一部。紀元前1万4000年〜1万3000年。
© Photo RMN - Loïc Hamon

▲副葬品とともに埋葬された女性の人骨。紀元前4500年。
© Photo RMN - Loïc Hamon

 続く新石器時代(紀元前約5500年〜紀元前約2100年)には定住、農耕といった新しい生活のスタイルが生まれ、それにともない革新的な技術や道具が誕生しました。展示室では布やセラミックなど、当時の新しい技術の全景を紹介しています。また定住社会における埋葬の遺跡の展示は、既にこの時代に複雑な社会組織が存在したことを証明する興味深い資料です。

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階級社会の誕生−青銅器時代、前期・後期鉄器時代

▲青銅器時代の金のベルト、腕輪、首飾り。紀元前1200年〜1000年。
©Photo RMN - Loïc Hamon

 青銅器時代(紀元前約2100年〜紀元前約750年)の展示室では、銅や金などの金属製品のコレクションが中心に展示されています。この時代は合金の技術の革新によって装飾品や武器、道具の種類が増えると同時に機能面で優れたものが作り出されました。当時の農耕社会においては戦士が常にその優位を保っており、寄せ集められた状態で発見された金属製品からはその持ち主の権力と、当時の階級社会の発展がうかがえます。展示品にあるパ=ド=カレー(Pas-de-Calais)県のギヌ(Guînes)で発見された金のベルトは、こうした権力を示す製品の中でも最も注目すべき例といえます。
 前期鉄器時代(紀元前約750年〜紀元前約450年)になると、社会は時代の移り変わりとともに際立った変化を見せ始めました。青銅器時代から受け継がれた農耕社会は、地中海、エトルリア、そしてギリシアといった都市社会の文化・文明、経済からの影響を真っ向に受け、より一層の不平等社会へと変貌していったのです。前期鉄器時代の展示ではこうした変化の痕跡を、特権階級を埋葬した古墳の発掘品とともに説明しています。

▲前期鉄器時代の古墳の発掘品。
©Photo RMN - Jean-Gilles Berizzi

 後期鉄器時代(紀元前約450年〜紀元後初頭)はローマ人によってガリア人という呼称が使われ始めた時代です。「オッピドゥム」と呼ばれるガリア人による城塞都市はこの時代に発展しました。この部門はカエサル(Gaius Julius Caesar)の『ガリア戦記』にも書かれたビブラクテの戦い*1、アレシアの戦い*2の戦場から発見されたガリアやローマの武器をはじめとした武具など、たいへん重要なコレクションを含んでいます(後期鉄器時代の展示室は現在工事中。2011年より公開予定)。

*1
ガリア戦争初年の紀元前58年、カエサル率いるローマ軍がビブラクテにおいて、ケルト民族のヘルウェティイ族を破った戦闘。
*2
紀元前52年にオッピドゥム、アレシアにおいてローマ軍がガリア連合軍に勝利した戦闘。
Update :2010.5.1
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© Photo RMN - Jean-Gilles Berizzi

国立考古学博物館

  • 所在地
    Château - Place Charles de Gaulle
    78105 Saint-Germain-en-Laye cedex
  • Tel
    +33 (0) 1 39 10 13 00
  • URL
    http://www.musee-archeologienationale.fr/
  • 開館時間
    10 :00-17 :15
    *祝日は要電話確認
  • 休館日
    火曜日
  • 入館料
    一般:6ユーロ
    割引料金:4.5ユーロ
  • アクセス
    RER A線サン=ジェルマン=アン=レー(Saint-Germain-en-Laye)駅より徒歩。

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*情報はMMMwebサイト更新時のものです。予告なく変更となる場合がございます。詳細は観光局ホームページ等でご確認いただくか、MMMにご来館の上おたずねください。

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