「ジェームズ(アート)アンソール」

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オルセー美術館前の展覧会ポスター
© Lila Takita
オルセー美術館の中央通路
© RMN (Musée d'Orsay) / Michèle Bellot

 1990年以来、パリで久しぶりに開催されるジェームズ・アンソール(James Ensor)の回顧展です。ニューヨーク近代美術館との協力で実現したこの展覧会では、「断絶」と「連続性」をキーワードに、革新と伝統とのあいだで揺れ動いた画家の姿を浮き彫りにします。

 アンソールはベルギーのオステンド(Ostende)という海辺の町の土産物屋に生まれました。オステンドで年に一度開かれるカーニバルは広く知られ、ヨーロッパ中から多くの人々が訪れました。カーニバル独特の熱狂と、グロテスクな仮面をつけ、仮装に興じる人々の姿は、幼いアンソールの心に深く刻みつけられます。また、アンソールは大人になってからも、家族が営んでいた土産物屋に並んでいたような珍奇な品々に深い愛着を抱いていました。こうした故郷の伝統に加え、初期作品に見られる自然主義、象徴主義からの影響を、今回の展覧会では、「連続性」ととらえています。

 また、故郷の風物や絵画的伝統に影響を受けながらも、アンソールの作品には年を追うごとに、独自の誇張された色使いが際立って見られるようになります。こうした作品群に本展では「断絶」というキーワードを当てはめました。この頃からアンソールのカンヴァスからは光が失われ、遠近法を無視した平坦な画面構成の作品が多くなりました。アンソールは、新たな表現方法を模索し始めていたのです。

 本展では、絵画、デッサン、版画など90点からなる作品を通じて、アンソールの作品のなかに共存する「伝統」と「革新」に迫り、表現主義の先駆者と位置づけられる画家の魅力を再発見します。

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