フランス展覧会便り
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「クリスチャン・ディオール、世紀の人」展オープニング・パーティ
グランヴィルに降り続いていた雨は、5月14日の朝、「クリスチャン・ディオール、世紀の人」展のオープニングに招かれた人々の到着と共に、まるで魔法のように晴れ上がりました。同展は、偉大なデザイナーであったクリスチャン・ディオールの生誕百年を記念して、彼が幼年時代を過ごしたノルマンディのこの町で開催されるものです。青い空の下、若いクリスチャン・ディオールが過ごした屋敷正面のピンク色と、ディオールの母親が自慢にしていた庭園の緑色は喜びと活気に溢れて輝きました。
その日は、グランヴィルにとってまさに晴れの日でした。この行事に際し、ルノー・ドヌデュー・ド・ヴァブル文化大臣もクリスチャン・ディオール美術館に臨席されました。屋敷の正面玄関前の階段で行われた開会の挨拶は、20世紀のモード史におけるクリスチャン・ディオールの重要性を改めて思い起させるものでした。
この美術館への訪問は、クリスチャン・ディオールとその創造の歴史に触れる、広大な屋敷を成す多数の展示室を通して幸福な時間を与えてくれます。
非常に美しい施工が為された1階には、1947年の第1回目のコレクション、ディオールが大事にしていた物、友人のアーティストたちによる作品(絵画と素描)そして香水が展示されています。
2階では、それ以降に創作されたドレス、帽子や靴を鑑賞することができます。これらの内、数点の名品はニューヨークのメトロポリタン美術館から借り受けたものです。
3階は、クリスチャン・ディオールの後継者たちに割かれており、大丸と共同で独占的に日本向けに制作されたドレス数点も展示されています。
美術館を訪問した後は、海に面した素晴らしい眺望を持つ美しい庭園の散策に勝るものはありません。すずらんと三色スミレが花壇を彩り、バラの木がツルを這わせる並木道はツル棚まで続き、その下で腰を下ろして池の中で跳ね回る鯉を眺めることもできます。
その日の晩は、フランス全土で「美術館の夜」が開催されました。クリスチャン・ディオール美術館でも、新しい展覧会を見に訪れるグランヴィルの住人たちを歓迎するために、非常に遅い時間まで開館しました。屋敷を改造したこの美術館の大きな正面は、ライトアップによって、クリスチャン・ディオールが愛した装飾モチーフの数々が光の戯れのとともに映し出されていました。

その訪問にすっかり魅惑された群衆たちは、真夜中になる少し前、お伽話から現実に戻るように庭園を去っていきました。
バンジャミン・ヌーヴェル,メゾン・デ・ミュゼ・ド・フランス(文・写真)

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