メゾン・デ・ミュゼ・デュ・モンド(MMM)のある銀座界隈には企業が運営する
美術館やギャラリーなどが、数多く点在しています。銀座のMMMにお越しの際、
併せて訪問いただきたい、こうしたアートスポットを中心にご紹介してまいります。
今回は、日本橋にある商業施設、コレド室町5階の「日本橋三井ホール」を訪ねました。イベントホールでは、この季節にぴったりの展覧会「ECO EDO 日本橋 アートアクアリウム2014 〜江戸・金魚の涼〜&ナイトアクアリウム」が開催中です。
▲4階にあるエントランスは、高級感あふれるホテルのような雰囲気
江戸時代より日本の商業、文化などの中心地として栄えてきた日本橋。国の重要文化財にも指定されている日本銀行や三井本館など日本を代表する歴史的な建造物が多く並ぶ一方で、近年、コレド室町やコレド室町2、コレド室町3といった新しい商業施設が次々と誕生しています。新たなこれらの施設は、2000(平成12)年頃よりこの地にゆかりの深い三井不動産を中心に官・民・地元が一体となって推進している「日本橋再生計画」の一環。「残しながら・蘇らせながら・創っていく」をコンセプトに、文化や伝統はそのままに商業施設の建設に加え、地域と連携したイベントを開催し、日本橋をさらに活気あふれる町にすべく活動を行っています。
▲江戸を象徴する“大奥”を表現した巨大金魚鉢シリーズ<大奥>は圧巻
その計画のひとつとして2010年10月に誕生したのが、コレド室町5階にある「日本橋三井ホール」。高さ7m、704uの広いホールでは、ビジネスやコンサートなど、毎日さまざまなイベントが行われており、現在は、「ECO EDO 日本橋 アートアクアリウム2014 〜江戸・金魚の涼〜&ナイトアクアリウム」(2014年7月11日〜9月23日)が開催中です。
▲アクアリウムを照明に見立てた<ボンボリウム>。雪洞をイメージした水槽内には、金魚が優雅に泳ぐ
「世界中を見ても自分が理想とする形の“アート”“デザイン”“エンターテインメント”が融合しているものがなかった。そこで自分が極めたものを作ろうと“アートアクアリウム”を始めました」
そう語るのは、“アートアクアリウム”の第一人者であり、この展覧会をプロデュースした木村英智(きむら・ひでとも)氏。“アートアクアリウム”とは、和をテーマにデザインされた水槽にLEDライティングやプロジェクションマッピングなど最新の演出技術を多用する水中アート展覧会のことです。
「日本橋は日本で最初の花街であり、文化の発信場所でした。江戸の人々は、金魚を愛で、視覚的なところから涼をとったといいます。ですから、金魚を使って“現代の花街”をここに再現したかったんです」と、木村氏は展覧会のコンセプトを語ってくださいました。
▲水槽内で泳ぐ魚たちが大きく見えたり小さく見えたり、歪んで見えたりする新作<リフレクトリウム>(手前)。「ずっと見ていても飽きない作品」と木村氏
水槽内を優雅に泳ぐ金魚は、お祭りなどでも目にするものから珍しい品種までその数なんと約5000匹。展示されている作品はイタリアの名ガラス工房「Venini」のデザイナーでもある木村氏が手がけているだけに、細部に至るまでこだわりが感じられるものばかりです。七色のライトに照らされた幅3mにもおよぶ巨大金魚鉢シリーズ<大奥>など大型のものをはじめ、さまざまな見え方のレンズを用いた<リフレクトリウム>や、垂直に見る面を一切持たない特殊な構造の<パラドックスリウム>といった新作など、本物の金魚が作り出す妖艶で独特な世界観にぐいぐい引き込まれていきました。
▲垂直に見る面を持たない特殊な構造の<パラドックスリウム>も今回が初出展
また、毎日19時からは、お酒などを飲みながら金魚を鑑賞できたり、土曜・祝前日には、DJパフォーマンスやJAZZなどを楽しんだりできるナイトアクアリウムを開催。珍しい演出について木村氏は、「以前から『こうした素敵な空間の中でお酒が飲めたらいいよね』というお客様の声もあって、それなら自分が作ればいいと思ったんです。単純に僕が好きなのもありますが」と笑いながら話してくださいました。作品ごとに音楽や香りの演出を行い、五感で味わうことができる幻想的な水中世界を満喫しに、ぜひ足をお運びください。