Ginza Art link - 銀座界隈アートスポット巡り

GINZA-ART LINK[ 銀座界隈で出会えるアート ]VOL.25

アートスポット巡り銀座界隈 GINZA-ART LINKVOL.25

メゾン・デ・ミュゼ・デュ・モンド(MMM)のある銀座界隈には企業が運営する
美術館やギャラリーなどが、数多く点在しています。銀座のMMMにお越しの際、
併せて訪問いただきたい、こうしたアートスポットを中心にご紹介してまいります。

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第25回 旧新橋停車場 鉄道歴史展示室  第36回企画展≪東京駅開業百年記念≫東京駅開業とその時代

今回は、日本の鉄道発祥地、汐留にある「旧新橋停車場 鉄道歴史展示室」を訪ねました。企画展示室では、東京駅開業100周年を記念した企画展「≪東京駅開業百年記念≫東京駅開業とその時代」が開催されていました。

旧新橋停車場 鉄道歴史展示室

所在地
東京都港区東新橋1-5-3
Tel
03-3572-1872
開設年
2003年4月
運営コンセプト
日本の鉄道発祥地である汐留の歴史を紹介しつつ、明治期に日本の近代化を牽引した鉄道の発展と影響を伝える企画展を開催している。
URL
http://www.ejrcf.or.jp/shinbashi/index.html
入場料
無料
開館時間
10:00〜17:00(ご入館は16:45まで)
休館日
月曜日(ただし、祝祭日の場合は開館、翌日休館)、 年末年始・展示替え期間中
アクセスマップ
アクセス
JR「新橋」駅銀座口より徒歩5分。都営大江戸線「汐留」駅より徒歩3分。東京メトロ銀座線・都営浅草線・新都市交通ゆりかもめ「新橋」駅より徒歩3分
運営会社
公益財団法人 東日本鉄道文化財団

日本初の鉄道ターミナル「新橋停車場」を忠実に再現した駅舎


▲明治期の旧新橋停車場の駅舎を忠実に再現した外観


▲鉄道歴史展示室の裏手に再現された当時のプラットホーム

 汐留シティセンターやパナソニック電工など、超高層ビル群が立ち並ぶ汐留。その一画に、明治期の面影を残し、重厚なたたずまいを見せる旧新橋停車場 鉄道歴史展示室があります。東京駅丸の内駅舎内にある東京ステーションギャラリーや、実物の鉄道車両を中心に展示している青梅鉄道公園、大宮にある鉄道博物館などとともに東日本鉄道文化財団が運営する施設です。


▲東海道本線の起点となった地に立つ「0哩標識」

▲当時用いられた長さ24フィート(7.3m)のレールも再現

 鉄道が開業した1872(明治5)年、新橋停車場は日本初の鉄道ターミナルとして東京の玄関口となりました。1914(大正3)年に東京駅が開業すると、新橋停車場は「汐留駅」となり、以降約70年間貨物専用の駅として発展。1996(平成8)年、駅舎とプラットホームの一部の遺構が史跡「旧新橋停車場跡」として国の指定を受けたのを機に、これらの史跡を保護しつつ、鉄道発祥の往時を偲ぶため、駅舎を再現する計画が開始されました。2003(平成15)年、開業当時と同じ地に当時の姿を再現した「旧新橋停車場 鉄道歴史展示室」が開館。2階建ての建物には1階に常設展示室・2階に企画展示室を設け、汐留の歴史をはじめ、明治期の日本の近代化を牽引した鉄道の発展と影響をテーマとした展示を行っています。

明治・大正時代を鉄道の歴史とともに振り返る企画展


▲企画展示室には、開業時の東京駅舎内部や、新橋停車場最後の日など、さまざまな古写真が並ぶ


▲展示室中央には、鉄道の路線図とともに、汽車土瓶や駅弁の掛け紙が並ぶ

 瀟洒な建物の入り口を入り、左手の螺旋階段を上ると、2階に企画展示室があります。「建物の内部は外観とは異なり、当時の様子を正確に示す資料が残されていなかったため、イメージして新たに設計しました」と話すのは、学芸員の河野真理子さん。

▲開業当時の東京駅の様子を写した東京停車場本屋全景(右)や、東海道本線が東京駅を発車する様子を写した写真(左)も飾られる

とはいうものの、内観は当時の様子を彷彿とさせるようなモダンな雰囲気の空間が広がっていました。年3回開催されている企画展では現在、「≪東京駅開業百年記念≫東京駅開業とその時代」(2014年12月9日〜2015年3月22日)と題した展覧会を行っています。これは、東京駅ステーションギャラリー、鉄道博物館とともに、東京駅開業100周年を記念した展覧会です。
「3館で同じテーマの展覧会を行いますので、すみわけが非常に難しかった」と河野さん。展示室は小規模なスペースながら、「東京駅開業と新橋」「汽車の旅」「東京観光」の3つのコーナーに分けられ、国民が東京駅開業に沸く様子を伝えた新聞記事や、大正時代の新橋、東京駅界隈の航空写真、駅舎内部の古写真や絵葉書、石版画など当時の様子がうかがえる貴重な資料が約200点出品されていました。

▲旅の持ち物として必要なトランクや化粧具袋、歯ブラシ、カメラなど。当時の品が紹介されている

 日本の鉄道が誕生した当初は新橋〜横浜間でしたが、明治後期には馬関(現・下関)までつながり、全国各地に鉄道路線は広がっていきました。大正時代になると、サラリーマン階層を中心に鉄道を利用した旅行も普及していったといいます。「汽車の旅」と題したコーナーでは、スーツケースや歯ブラシ、化粧具袋などの旅の持ち物のほか、庶民が汽車の中で利用したお茶の容器や駅弁の掛け紙が公開されていました。「明治20年代になると、滋賀県の信楽や栃木県の益子などで作られた土瓶を使って、駅でお茶が販売されるようになりました。展示されている土瓶と湯飲みは、東京駅の南で行われた発掘調査で出土したものですが、昭和30年代までこうした容器が使われていたんです。

▲1階の常設展示室では、国の史跡に指定されている駅舎基礎石の遺構を見ることができる

土瓶には表・裏面に販売される駅名が入っているものと、駅名と業者名が記入されたものがあります。また今回、駅弁の掛け紙は明治後期から昭和初期のものを展示していますが、時代によってデザインが変わっていくのが分かりますよね」(河野さん)。文字だけが記載されているシンプルなものから、モダンな絵や文字が施された掛け紙の数々。「松茸めし」「鰻御飯」「御鯛飯」「サンドウイッチ」といった文字が印刷されており、当時の“駅弁事情”もうかがいしることができます。

 また、東京駅開業と同じ年に誕生し、大正時代を代表する国産製の旅客用機関車として親しまれた「8620形蒸気機関車」の写真や模型などが展示されているほか、新橋停車場もかつては観光名所のひとつだったことを示す東京観光紹介地図など、鉄道ファンでなくとも存分に楽しめる内容でした。東京駅開業100周年という記念すべき年に、日本の鉄道発祥地を訪れ、近代日本の歴史に触れてみませんか。

ギャラリーからのメッセージ - Message de Galerie

旧新橋停車場 鉄道歴史展示室では、鉄道の歴史はもちろん、汐留の歴史もご紹介しています。建物は当時と同じものを忠実に再現し、また常設展では当時の基礎石を展示しています。これらの展示物を通し、鉄道はここから発展したということを未来に伝えていきたいと思っています。無料の展示室ですので、どなたでも気軽に来ていただけると思います。企画展は年3回開催していますので、1度だけではなく、ぜひ何回も足を運んでいただければ嬉しいです。
旧新橋停車場 鉄道歴史展示室 学芸員 河野真理子

Update : 2015.3.1ページトップへ

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