
色彩画家ボナールと南仏の光とのつながりを読む
今月のMMFwebサイトの特集記事では、南仏ル・カネにあるボナール美術館を取り上げています。そこで、インフォメーション・センターからは、昨年の夏から秋にかけてボナール美術館で開催され、話題を呼んだ展覧会「ボナールとル・カネ、地中海の光の中で」のカタログを紹介いたします。
ボナールは、1889年に結成されたナビ派に参加した画家。その後も、パリを拠点に、親密な雰囲気の室内画を多く描きつつ、光と色彩の表現を追求していくようになります。そのボナールが、寒い冬のパリを避けて、地中海沿岸の小さな町ル・カネを頻繁に訪れるようになったのは、50代半ばの1922年頃からのことでした。
本書は、およそ40点の絵画作品などを通じて、この画家と地中海の風土との結び付きに焦点を当て、創作の軌跡を丁寧にたどったもの。巻末の年表には、画家の古写真などの貴重な資料がふんだんに収められているのも、ファンにはうれしい一冊です。