

『キャパ・イン・カラー』
CAPA IN COLOR
著者/シンシア・ヤング
31×26cm/207ページ
英語/2014年
出版社/International Center of Photography, DELMONICO PRESTEL
※この情報は2016年5月更新時のものです。
20世紀を代表する戦場カメラマン、ロバート・キャパ
その知られざるカラー写真を集めた展覧会のカタログ
20世紀を代表する写真家ロバート・キャパ。キャパといえば、誰しもが思い浮かべるのは、スペイン内戦に取材した《崩れ落ちる兵士》をはじめとする、モノクロームの世界でしょう。しかし実は、キャパは1941年から1954年に亡くなるまで、ほとんどの現場で白黒と並行してカラー写真も撮影していたのです。現在、フランスのトゥール城では、そんなキャパのカラー写真に焦点を当てた展覧会が開かれ、話題を呼んでいます。今月のMMMwebサイトの特集では、その様子をレポート中。ライブラリからは、その公式カタログをご紹介いたします。
ページを繰れば、これまでとは異なるキャパ像が広がります。たとえば、恋人フランソワーズ・ジローに日傘を差して海岸を散歩するピカソの写真。この撮影現場でも、キャパはカラーフィルムも用いていたのです。カタログには、フランソワーズとの息子を抱きながら海で遊ぶピカソを撮影したカットが収められていますが、20世紀絵画の巨匠の「生」を感じさせるようなリアリティは、カラーならではでしょう。
また、今回、戦場カメラマンキャパのもうひとつの顔にもスポットが当てられました。リゾートカメラマンとしてのキャパです。戦争を経験した後の1950年代、キャパが題材として選んだのは、リゾート地でした。光あふれるリゾート地で、人生を謳歌する人々のまばゆい一瞬をキャパは見事に切り取りました。そして、リゾートのシリーズはキャパのカラー写真の代表作となったのです。
キャパの知られざるカラー写真を紹介する一冊。大判の写真集ならではの迫力で、その世界を覗いてみてはいかがでしょうか。