「ボナール 〜作品、そして静止した時間〜」 「パリの美術館・博物館〜その歴史と建築、装飾〜」
 
 今年2月、2年間にわたる改装工事を経て再オープンを迎えたパリ市立近代美術館。マティスやピカソをはじめ、モディリアーニや藤田嗣治など「エコール・ド・パリ」の画家たちの作品も収める近代美術の殿堂として、パリ市民はもちろん国内外からも人気を集める美術館です。そして待望の再オープンを飾ったのが、展覧会「ピエール・ボナール〜作品、そして静止した時間」。今月ご紹介の一冊は、ナビ派の巨匠として知られる、このボナールの展覧会カタログです。
ボナールは、19世紀末、強烈な色遣いと理念をもつ画家ゴーギャンに魅了され、仲間の画家ドニやヴュイヤールらとともにナビ派を結成。彼らはやがて、フォーヴィスムやキュビスムへとつながる、新しい時代の幕を開ける重要な役割を果たすことになります。そしてゴーギャンから学んだ明るい色彩で、何気ない食卓の光景や室内画、裸婦像を描くことを得意としたボナールは、ナビ派の代表的な画家として美術史に名を残しています。
 
Bonnard 〜l'oeuvre d'art, un arrét du temps〜
22.5×27.5cm/360ページ
フランス語/刊行:2006年
序文:ベルトラン・ドラノエ(パリ市長)
本体記載価格/44ユーロ

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  なかでも、妻マルタをモデルに制作された「入浴する裸婦」のシリーズは、彼を“色彩の画家”と言わしめる代表作となりました。本書では、デッサンを含む展示作品90点の解説をはじめ、ボナールが追い求めた色彩とその法則、作品のなかに漂う“脱力感”など、さまざまな角度から画家の世界観を探る6つのテキストを収載。さらに、画家が当時の先端技術であった写真をいかに制作に利用したかといった興味深い内容にも、自らが撮影した写真とともに触れられています。
穏やかな作品の陰に潜む、ボナールの探究心や革新的な一面を発見できる充実の一冊です。
 
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