ブラッサイはもともと美術アカデミーで学んだ画家、彫刻家でしたが、30歳の頃から自らの芸術表現の主軸を写真に求めていきます。折しもパリには詩人アンドレ・ブルトンが提唱した新たな芸術シュルレアリスム旋風が吹き荒れていたころ、ブラッサイは夜のパリの街をさまよい、その光景を写真に収めていきました。やがてブラッサイがフレームに切り取った妖しい雰囲気を放つパリのアンダーグランド・シーンは、後世の写真家に大きな影響を与えることになります。 今月ご紹介するのは、独自の美意識をもったこのピカソとブラッサイの作品世界を同時に楽しめる一冊です。ピカソはすでに20代の頃から絵画やデッサンに加え、彫刻の世界でも高い評価を得ていました。本書にはブロンズをはじめ、ピカソがアフリカやオセアニアの原初彫刻から大きなインスピレーションを受けて制作した木彫など、50点余りの作品がブラッサイの手による美しいモノクロームの世界で表現されています。 20世紀を代表する二つの才能のコラボレーションが生み出した美の極致を、大判サイズの写真を通して存分に味わうことができる贅沢な一冊です。 |
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