「ピカソの彫刻」写真:ブラッサイ
 
 
二人の巨匠のコラボレーション
写真家ブラッサイが切り取った
モノクロームのピカソの世界
 東京、六本木の国立新美術館サントリー美術館の2館で同時開催されていることで話題の「巨匠ピカソ」展。パリでもルーヴル美術館オルセー美術館、そしてグランパレ・ナショナル・ギャラリーの3館でピカソ関連の展覧会が開催されています。
 ピカソは91年の生涯にわたって、つねに新たな芸術を追求し続けました。獲得した名声に固執することなく、むしろそれまで築いてきた作風を破壊することによって、力強く進化し続けた稀有な芸術家です。
  「ピカソの彫刻」写真:ブラッサイ
The Sculptures of Picasso: Photographs By Brassaï
34×43.5cm/120ページ
英語/刊行2005年
   
 そんなピカソの芸術や生き方は、詩人のアポリネールやコクトー、また写真家のマン・レイなど、多くのアーティストを魅了しました。そして、1923年にパリでピカソと出会ったハンガリー生まれの写真家ブラッサイもその一人です。
 ブラッサイはもともと美術アカデミーで学んだ画家、彫刻家でしたが、30歳の頃から自らの芸術表現の主軸を写真に求めていきます。折しもパリには詩人アンドレ・ブルトンが提唱した新たな芸術シュルレアリスム旋風が吹き荒れていたころ、ブラッサイは夜のパリの街をさまよい、その光景を写真に収めていきました。やがてブラッサイがフレームに切り取った妖しい雰囲気を放つパリのアンダーグランド・シーンは、後世の写真家に大きな影響を与えることになります。
 今月ご紹介するのは、独自の美意識をもったこのピカソとブラッサイの作品世界を同時に楽しめる一冊です。ピカソはすでに20代の頃から絵画やデッサンに加え、彫刻の世界でも高い評価を得ていました。本書にはブロンズをはじめ、ピカソがアフリカやオセアニアの原初彫刻から大きなインスピレーションを受けて制作した木彫など、50点余りの作品がブラッサイの手による美しいモノクロームの世界で表現されています。
 20世紀を代表する二つの才能のコラボレーションが生み出した美の極致を、大判サイズの写真を通して存分に味わうことができる贅沢な一冊です。
 
 
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