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▲美術館を彩る大きな壷
©Musée Cernuschi |
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このミュゼは、フランスではギメ美術館に次ぐ東洋美術の宝庫としてよく知られていますが、なかでも、中国美術のコレクションはヨーロッパでも5本の指に入るほど豊かなものです。1万2000点以上もの所蔵品のなかから常時900点ほどが展示され、わたくしたちの目を楽しませてくれます。
美術館の名は、コレクションの礎を築いたアンリ・チェルヌスキ(1821-1896)にちなむもの。イタリアに生まれながらも、政治上の理由からフランスへの亡命を余儀なくされた彼は、銀行家として財を成します。ところが1871年に起こったパリ・コミューンの流血の惨事(多くの民衆が犠牲となりました)にたいそう胸を痛め、フランスを離れて世界周遊の旅に出ることを決めたのです。旅先でチェルヌスキの心を捉えたのは、ため息が出るほど美しい東洋の美術品──。ひとつ、またひとつと古美術品を購入していったチェルヌスキは、やがて、それらの品々をフランスで公開することを願うまでになっていきました。そして1873年、フランスに戻った彼が邸宅を構えると、そのコレクションの噂はパリの社交界に広まっていったのです。1896年、チェルヌスキ亡き後は、パリ市が邸宅とコレクションを譲り受け、美術館として公開されることになりました。
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