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▲おもちゃの黄金時代の展示室にある男の子のおもちゃの展示ケース
Collection musée du Jouet, Poissy

▲男の子のおもちゃコーナーにある汽船(1880年)
Collection musée du Jouet, Poissy
©Temps de pose

一方、男の子はといえば、小さな頃から外遊びが大好きなものです。いつの時代も、車輪の付いたもの、水に浮かぶもの、空を飛ぶものに関心を寄せてきました。そのため、おもちゃも動くものや移動するもの、例えば、この美術館に飾られている赤い足漕ぎ自動車(1930年)や、船、三輪車のように、地上や水上、空の上の世界を探検できるようなものが中心です。もちろん、戦争ごっこも大好きです。1908年製の小さな将校の制服がありましたが、兵隊さんの格好で遊んだりもします。その向かい側の、展示ケースいっぱいに飾られたクマのぬいぐるみを見たら、小さな子どもたちは、大喜びするに違いありません。クマのぬいぐるみは、子どもの心を癒すおもちゃです。


▲シャルル・クロー《マリー・デュモンとお人形》1849年
Collection musée du Jouet, Poissy
©Studio Bernot

▲セルロイド製の水遊びの赤ちゃん人形(1950年代)
Collection musée du Jouet, Poissy
©Temps de pose

1907年アメリカ合衆国ではじめてのテディベアが作られ、時代とともにその形を変えてゆきました。初期のテディベアは、鼻面が尖っていて脚が長く野性的な風貌です。その後、より人間らしく、やさしく、ほっとさせるような姿になっていったのです。 二つ目の展示室では、第二帝政期の「パリジェンヌ」や、皆さまもよくご存知の「バービー」をはじめとする人形の歴史が紹介されています。小さな展示ケースには、紙と皮と布でできた18世紀のとても珍しく壊れやすい人形が飾ってありますが、人形の制作が近代的な技術と新しい素材によって本格化したのは19世紀になってからのことです。頭は磁器、体は木または皮におがくずを詰めたものでできています。できるだけ本物の女性に似せて作られており、ここに展示されている人形は、当時の流行の服を着ています。とてもエレガントな人形たちは、旅に出る際には衣装ケースと化粧道具を持って行きました。展示ケースの後ろ側には、ブルターニュやアルザスなど、フランス各地の衣装を着けた人形に並んで、日本のお雛さまも飾られています。


▲日本の雛人形も飾られている(19世紀末)
©A. de Montalembert

▲SFBJ社製のブルエット人形(1925年)
Collection musée du Jouet, Poissy
©Temps de pose

1905年に子ども向けの新聞『シュゼットの一週間』が刊行された際に、有名な人形「ブルエット」が登場します。定期購読を申し込んだ人すべてにプレゼントされ、郵便で送られましたが、それ自体、当時はとても画期的なことだったのです。半分開いた口、1920年からは閉じるようになった目を持つかわいらしい顔立ちに女の子たちは夢中になりました。衣装一式に数多くの小物を持つこの人形は当時最新流行のものでした。ブルエットはその後、50年間にわたって人気を保ち続けました。また、赤ちゃんの人形も展示されていましたが、中にはアジア系の赤ちゃん(1935年)の姿もありました。展示室の奥には、1959年にアメリカ合衆国で生まれたバービー人形が飾られています。そのうちのひとつ、1960年のバービー人形は青と白のストライプのワンピースを着て、買い物に出掛けるところです。この人形は、ピンクと白のチェックのドレスに大きな麦わら帽子という、着替え用のエレガントな衣装も持っています。大人の世界を垣間見させてくれるセクシーなバービー人形は、女の子の世界に大きな変化をもたらし、世界中で最も売れた人形となりました。


▲3匹の小さな子豚の機械仕掛けのおもちゃ(1934年/ドイツ製)
Collection musée du Jouet, Poissy
©M.Simondet

▲人形の家の食堂の風景
©A. de Montalembert

3つ目の展示室にお入りになったら、19世紀イギリスの人形の家をぜひご覧になってみてください。リビングルームとダイニングルームがあり、それぞれが当時の上流家庭にふさわしいインテリアで調えられています。リビングルームにはピアノ、ゲーム盤、祖先の肖像画──。これは、女の子たちが将来、女主人として家庭を取り仕切るための教育の一環なのです。また、学習のためのおもちゃもあります。アルファベットの書いてある積み木、バラの花をちりばめた帽子を被った女の子が描いてあるパズル、家が爆発する科学的かつ技術的なゲーム、ピンク色の小さなかわいらしい豚の音楽家の機械仕掛けのおもちゃなどです。豚のおもちゃは1934年のもので、映像で動きを見ることができます。


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