開館20周年を記念する展覧会として開催されることになったのは、写真展「VU’ at オルセー美術館」。19世紀芸術のなかで果たした写真の役割を重要視するオルセー美術館ならではの展覧会といえるでしょう。
12月5日から翌7月29日まで地下1階の青少年受付ホールで開催されるこの展覧会には、もうひとつの“20周年”の祝福が込められています。
スペイン人写真家のホアン=マヌエル・カストロ・プリエト(Juan Manuel Castro Prieto)は、展示室や倉庫にある作品をそのままの状態で、人工照明を用いず、長時間露出で撮影しました。イギリス出身で、現在はフランスで活躍しているリップ・ホプキンス(Rip Hopkins)は、美術館の協力者を肖像写真で表現。長い白いコードの先にポンプをつけ、モデルが自分でカメラのシャッターを切り、ポーズや姿勢も自分で決めることができるようにしたといいます。
ルポルタージュを得意とするアメリカ人写真家スタンリー・グリーン(Stanley Greene)は、美術館の内外にいる観客を撮影。塔の上、通路、ロダンのテラスといった独創的なアングルから撮影し、観光客や野次馬、美術ファン、疲れた人、または道に迷った人など、多様な観客の表情や動きを捉えています。
オルセー美術館から生み出された作品の数々を展示する独創的な写真展「VU’ at オルセー美術館」。きっと開館20周年をいっそう華やかに彩ることになるはずです。