ピカソ-セザンヌ展 ヴォーヴナルグ城 イベントカレンダー セザンヌゆかりの地を訪ねて
ヴォーヴナルグ城
 エクス(Aix)のヴォーヴナルグ村(Vauvenargues)とサント・ヴィクトワール山(Sainte Victoire)の間に、ピカソ(Picasso)が眠る城(1929年に歴史的建造物に認定)が谷間を行く人を見守るかのように建っています。「ピカソ-エックス2009」の一環として5月25日から9月27日の期間のみ、このヴォーヴナルグ城が一般公開されます。「セザンヌのサント・ヴィクトワール山を買ったよ」と語ったピカソが、こよなく愛した城が初めてその門を開きます。
サント・ヴィクトワール山を買ったピカソ
 14世紀建造の二つの塔を従え、16世紀の城壁に囲まれたヴォーヴナルグ城は、1257年にはエクスの大司教が所有していました。その歴史は、プロヴァンス地方の歴史と分かちがたく結びついており、1473年にはルネ王(René)が、ついでクラピエ家(Clapiers)やイゾアール家(Isoard)などさまざまな地元貴族の持ち物となりました。両家の紋章は現在でも城壁やファサードに見ることができます。1943年には、城と土地はマルセイユ(Marseille)の3人の企業家に売却され、バカンス用の施設になります。そして1954年、ヴォーヴナルグ村の農業会社が買い、ついに1958年、ピカソが購入することになったのです。
 このとき、ピカソは画商カーンワイラー(Daniel Henry Kahnweiler)にこんな風に言った伝えられています。
「セザンヌのサント・ヴィクトワール山を買ったよ」
 作品のことを言っているのだと思ったカーンワイラーは「どのサント・ヴィクトワール山?」と聞き返しました。するとピカソは「実物さ」と答えたといいます。

コレクションに囲まれて過ごす城での静かな暮らし
 ピカソが城に移り住んだのは購入した翌年の1959年初頭のことでした。一時的に田舎の生活を楽しむためではなく、当時暮らしていたカンヌ(Cannes)での賑やかな社交と都会生活から逃れるために、永久にここに居を移すつもりだったのです。暖房設備を整えたにも関わらず、快適さという点においてはこの城は十分とはいえませんでした。しかしこの隠れ家は、ピカソがコレクションした絵画のほとんどを飾れる広さがありました。ピカソは、ブロンズ彫刻のコレクションも移動し、城のファサード前面のテラスと、入り口の回廊に並べました。何百というピカソの作品と蔵書などがこの城に移され、城はさながらピカソの個人美術館のような呈をなしたのです。
 80歳のときピカソは、城と土地を若い妻ジャクリーヌ(Jacqueline)に捧げ、城の新しい主となった“ヴォーヴナルグのジャクリーヌ”の肖像を描きます。さらにピカソが買った巨大な黒い食器棚は、このヴォーヴナルグの空間になくてはならないものとなりました。この奇妙な形をした家具を描いた作品は7点を下らず、なかには大型の作品もあります。その食器棚は現在も城内で見ることができます。

妻ジャクリーヌとともに眠るピカソ
 1973年4月8日、ピカソはコート・ダジュールのムージャンで92年の生涯を閉じます。息子のパウロ(Paulo)と妻ジャクリーヌは、ピカソを埋葬する地としてムージャンも考えましたが、結局ヴォーヴナルグの城を画家の埋葬地として選びました。  ピカソが亡くなった年の4月は、例年春めいているプロヴァンス地方では珍しく、雪が降ったといいます。真っ白な雪に導かれるかのよう、ピカソの葬列はこのヴォーヴナルグに到着しました。妻ジャクリーヌはピカソの墓に1933年に制作されたブロンズ像《花瓶をもつ女》を置きました。そして画家が亡くなってから13年後、ジャクリーヌもまたピカソの墓にともに入ることになったのです。
 こうしてピカソは、セザンヌ(Cézanne)が愛したサント・ヴィクトワール山麓に今も眠り、現在も二人の画家の親密な関係は続いているのです。

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ヴォーヴナルグ城
*見学の際は、必ず事前予約が必要です。
ピカソ−エクス2009 公式サイト
  • 会期
    2009.5.25-9.27
  • 公開時間
    9 :00-19 :00(見学の最後の回は17 :30〜)
    *見学所要時間:1時間15分(1回の見学の定員は19人)
  • 入場料
    一般:7.70ユーロ
    割引:4.20ユーロ(13〜25歳)
    13歳未満、障害者、プレスカード保持者:2.20ユーロ
    団体料金(15人以上):6.20ユーロ
  • チケット情報
    グラネ美術館チケット売り場およびエクス・アン・プロヴァンス観光案内場などで購入できます。
  • グラネ美術館
    Tel:+33(0)4 42 52 88 32
  • エクス・アン・プロヴァンス
    観光案内所
    Tel:+33(0)4 42 16 10 91
    *トワ・ボン・デュー(Trois Bons Dieux)の駐車場より必ずシャトルバス(ナベット)を利用してください。ナベットの料金は入場料に含まれています。(身体の不自由な方のアクセスは困難です)
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