「20世紀のルノワール」

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ルノワール《洗濯する大女》1916年
© Rmn (Musée d'Orsay) / René-Gabriel Ojéda
ルノワール《カーニュのブドウ畑》1908年
© Brooklyn Museum of Art, New York, USA

 現在まであまり知られてこなかった、ルノワール(Pierre-Auguste Renoir)の晩年の制作に、初めて本格的に光を当てた展覧会。その晩年、既に、異論の余地のない名声を博していたルノワール。当時の彼は印象派の象徴的存在と目されていましたが常に新たな主題にいどみ続けます。その革新的な姿勢は、若い世代の画家たちの賞讃の的となっていたのでした。例えば、パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)やアンリ・マティス(Henri Matisse)、ピエール・ボナール(Pierre Bonnard)やモーリス・ドニ(Maurice Denis)らは、ルノワールを特にその20世紀初頭の「最後の作風」において賞讃しています。

 ルノワールは1880年頃から、印象派の教えを問い直し、古典作品の参照にしながらアトリエでデッサンに励みます。そして印象主義を捨てることなく、古典的かつ装飾的な芸術を創出します。ルノワールは、ラファエロ(Raphaël)、ティツィアーノ(Titien)、ルーベンス(Rubens)といった、ルーヴル美術館や旅先で見た過去の巨匠の大作と競い合おうとしました。近代世界を描くことをやめた画家の探求は、官能的な浴女たちが登場する永遠不変のアルカディアに向かいます。それは、1890年から熱心に通うようになる南フランスから着想を得たものでした。ルノワールは地中海の風景に古代の世界を感じ取っていたのです。生きた親しみやすい現在性をもつ神話の発祥地であり、最後の“避難所”でもある世界を──。また、晩年のルノワールは彫刻といった、彼にとって未知の技法を探求することも厭いませんでした。

 本展覧会では、世界中から集められたルノワールの絵画、デッサン、彫刻約100点が展示されます。裸婦、肖像画、モデルの習作のなかには、マティスやピカソが所有していたものもあります。これらの作品はピカソ、マティス、マイヨール(Aristide Maillol)、ボナールの作品と対比され、これらの画家たちがルノワールの後継者であることがうかがえます。

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