ストラスブールの見どころのひとつは、マルシェ・ド・ノエルのすぐ横に建つロアン宮殿です。ロアン宮殿は、ルイ14世付きの建築家として知られるロベール・ド・コット(Robert de Cotte)によって、ストラスブールのロアン大司教(Prince cardinal de Rohan)のために建てられました。

© Rika Endo-Cadou
美しいシンメトリーをもつ古典主義様式の建築で、マリー=アントワネット(Marie-Antoinette)やナポレオン1世(Napoléon I)も訪れた優雅なたたずまいの宮殿です。現在は、大司教のアパルトマン部分、サロン、王侯用寝室、図書館、礼拝堂など、ロココ様式の内装を見学することができます。またこの宮殿内には、地下の考古学博物館(Musée d'Archéologie)、17世紀後半〜19世紀中頃のコレクションを収める装飾博物館(Musée des Arts décoratifs)、14〜19世紀のヨーロッパ美術を展示するストラスブール美術館(Musée des Beaux-Arts de Strasbourg)が併設されています。

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ロアン宮殿の門を抜け、中庭左側にあるのが美術館の入り口です。白壁の階段を上り2階の扉を開けると、15〜16世紀の宗教画の並ぶ展示室が広がります。ボッティチェリ(Sandro Botticelli)の≪聖母子像≫など、イタリア・ルネサンスの巨匠の作品が並ぶ展示室もあります。さらには16世紀のヴェネツィア派の作品をはじめ、マニエリスム、フォンテーヌブロー派など、まるでヨーロッパ絵画史の歩みをたどれるような作品群が次々と登場します。
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17世紀フランドルの巨匠ルーベンス(Peter Paul Rubens)と同じ展示室にあるのは、フランスで活躍した肖像画家ニコラ・ド・ラルジリエール(Nicolas de Largillière)の≪ストラスブールの美女≫です。この作品は、当美術館の≪モナ・リザ≫ともいわれています。ニコラ・ド・ラルジリエールは、肖像画を得意としましたが、なかでもこの作品は代表作で、モデルのスタイルは、当時のパリで大きな反響を呼びました。フランドルで学んだルーベンス派の暖かい色調や神秘的な筆遣い、謎めいた形の帽子、大胆な黒のドレスと胸元の繊細な装飾のコントラストなどが、パリで高く評価されたのです。
美術館にはこの他に、ローテルブール(Philippe-Jacques de Loutherbourg)やコロー(Jean-Baptiste Camille Corot)、クールベ(Gustave Courbet)やストラスブール生まれのエンネル(Jean-Jacques Henner)などロマン主義と写実主義の名作が所蔵されています。
アデミック日本・ヨーロッパコンサルティング社代表取締役。
現在ストラスブール市と東京のマルシェー・ド・ノエル(2009年12月開催)コーディネーターとして活動中。
和訳・写真:遠藤利加
- 所在地
2 place du Chateau Strasbourg - Tel
+33(0)3 88 52 50 00 - 開館時間
<平日> 12:00-18 :00
<土・日曜日> 10 :00-18 :00 - 休館日
火曜日、祝日 - 入館料
一般:4ユーロ
20名以上のグループ、学生、25歳以下:2ユーロ
18歳以下:無料
- Bunkamuraザ・ミュージアム
http://www.bunkamura.co.jp/
museum/ - 石川県立美術館
http://www.ishibi.pref.ishikawa.jp/
index_j.html - 熊本県立美術館
http://www.museum.pref.
kumamoto.jp/
- MMFインフォメーション・センターでは、ストラスブール美術館の図録を閲覧いただけます。

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