ポンピドー・センターで開催された同名の展覧会図録
『キュビスム』
Le Cubisme
キュビスムの魅力が凝縮された一冊
2月20日(水)から4月18日(木)まで、MMM3階のアートスペースでは「アートのなかの黄金比と白銀比」と題して、世界のミュージアム・グッズのなかから「黄金比」関連のグッズを特集します。この特集展示にちなみ、今月取り上げる一冊は、20世紀の美術界最大の視覚革命ともいえるキュビスムに関する新着図書です。
キュビスムは、1900年代にフランスで起こりました。その発端は、1907年にピカソが描いた《アヴィニヨンの娘たち》でした。見たままに描く印象主義とは異なり、モティーフの細部を描くことや情緒的なニュアンスを排除して、女性たちの基本的な形や量感を強調するという、まったく新しい絵画でした。この《アヴィニヨンの娘たち》が美術界に与えたインパクトは大きく、そのためキュビスムというとピカソやともに活動したブラックの印象が強いかもしれません。しかしキュビスムが20世紀初頭の美術界を席巻した背景には、もうひとつのキュビスムのグループであった「ピュトー派」の存在がありました。画家ジャック・ヴィヨン(本名ガストン・デュシャン)を中心としたピュトー派の画家たちが脚光を浴びたのが、1912年パリで開かれた「セクション・ドール(黄金分割)展」です。本展はキュビスムの集大成のような展覧会で、ピカソとブラックを除くキュビスムに共鳴する画家や彫刻家が多く参加しました。そのなかには、ヴィヨンの弟のマルセル・デュシャンやアルベール・グレーズら新進気鋭の芸術家たちが名を連ねました。
本書は2018年10月から2019年の2月までパリのポンピドー・センターで開催中の「キュビスム」展の図録。ピカソらはもちろん、ピュトー派を含むキュビスムの画家たちの作品と歩みが凝縮された一冊です。大判の図版で20世紀美術界に革新をもたらしたキュビストたちの作品を楽しめるのはもちろん、キュビスムの再評価や新解釈にも章を割いています。ページを繰りながら、キュビストたちの造形のなかに黄金比を見つけてみるのも一興です。
※こちらでご紹介する書籍は地下1階のMMMライブラリにて閲覧いただけます。
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Update : 2019.2.8
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