『ファンタン=ラトゥール−鋭敏な感性』
『ファンタン=ラトゥール−鋭敏な感性』
『ファンタン=ラトゥール−鋭敏な感性』
Fantin-Latour - A fleur de peau
著者/サヴィエ・レイ他
26.5×23cm/256ページ
仏語/2016年
出版社/Réunion des musées nationaux - Grand Palais
本体価格/35ユーロ
※この情報は2016年11月更新時のものです。
MMMでは海外書籍のお取り寄せも承っております。

日本人の琴線に触れる、美しい花の静物画の数々……
静物と肖像の巨匠ファンタン=ラトゥール展の
公式カタログ

ファンタン=ラトゥールという画家をご存知でしょうか?

名前だけではピンとこない方も、その美しい花の静物画はどこかで目にしたことがあるに違いありません。また、《バティニョールのアトリエ》の作者としてファンタン=ラトゥールを記憶している方も多いでしょう。この作品は、印象派の記念碑的な一枚として知られていますが、自身の作風は印象派とは対照的。どの流派にも属さない独自のスタイルで、19世紀フランス画壇において、静物と肖像の巨匠としてその地位を確立した画家でした。

この不思議な画家の「鋭敏な感性」に焦点を当てた展覧会が、現在、パリのリュクサンブール美術館で開催中(2017年3月からはグルノーブル美術館に巡回)。初期から晩年までの油彩画や素描120点以上が一堂に会するこの大回顧展の様子は、本サイトの特集で、その見所をレポートしています。

MMMライブラリからは、この展覧会「ファンタン=ラトゥール−鋭敏な感性」の公式カタログをご紹介します。数多くの自画像を中心とした身近な人々の肖像画、《バティニョールのアトリエ》に代表される集団肖像画、そして静物画……。256ページもの大部を一葉一葉、繰っていくと、描かれる対象が何であれ、そこにはファンタン=ラトゥールならではの「静謐」な空気が流れていることがよく分かります。とりわけ、印刷のクオリティの高さもあってか、花の静物画の静かな美しさは格別。フランスの花といえば、ヴェルサイユのような幾何学的な均整のとれた庭園の花々を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、ファンタン=ラトゥールの花は、ヴェルサイユの世界観とはまったくの別物。画家ならではの静謐な世界観とともに、野の花をそのまま摘み取ったような侘びた風情をも備えた花々は、日本人の琴線にも触れる美しさです。ぜひ、お手にとってご覧になってみてください。

※こちらでご紹介する書籍は地下1階のMMMライブラリにて閲覧いただけます。MMM所蔵資料データベースはこちら
Update : 2016.11.1
Back Number