パリの装飾芸術美術館で開催された同展の公式カタログ『バウハウスのエスプリ』L’esprit du BAUHAUS
『バウハウスのエスプリ』
『バウハウスのエスプリ』
L'esprit du BAUHAUS
著者/オリヴィエ・ガベ
30.4×24cm/263ページ
仏語/2016年
出版社/Les Arts Décoratifs/Fondation d’entreprise Hermès
本体価格/39ユーロ
※この情報は2017年3月更新時のものです。
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ものづくりの幸福な現場を垣間見せてくれる一冊

2016年10月から2017年2月まで、パリの装飾芸術美術館にて開催されていた「バウハウスのエスプリ」展。1月のMMMWebサイトの「海外の特集」でもご紹介した展覧会です。1919年、ドイツのヴァイマルで創設された造形美術学校バウハウスは、モダニズム・デザインの揺りかごであり、現在に至るまで、大きな影響を与えています。また、中世の職人の手仕事や修業にならったユニークなカリキュラム、クレーやカンディンスキーといった豪華な教師陣が指導したという点でも、特別な存在感を放つ学校でした。その自由なバウハウスの世界を垣間見られるのが、この公式カタログです。

ブルーのカバーにシンプルかつ力強くレタリングされた「BAUHAUS」の黒い文字がモダニズム・デザインのイメージを分かりやすく伝えています。カバーをめくれば、真っ赤な見返し。バウハウスのエスプリを見事に体現した装丁だけでも、一見の価値があります。

本書に収載されているのは、絵画、彫刻、建築の図面、さらには家具やテキスタイル、セラミック、写真、タイポグラフィーなど、多ジャンルにわたる実験的な作品や、それらの作品が生まれたアトリエ、そしてそこで生き生きと創作活動に向き合う教師陣や生徒たちなど、写真資料の数々です。刺激的かつ豊かな創造の現場であったバウハウスがまるごと、この一冊に収められているかのような充実ぶり。そうした作品や写真を見ていくと、中世から継承されたマイスター制度が、ものづくりを目指す者たちにとって、いかに幸せな時間と場所を提供するものであったかがよく分かります。ものづくりの幸福な現場に立ち会っているかのような気分にさせてくれる一冊です。

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Update : 2017.3.1
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