ファッショナブルな皇妃 ジョゼフィーヌ―第一帝政期のエレガンス―
 先月のLecture―MMFのライブラリーから―では、マリー=アントワネットの衣装に関する展覧会カタログを取り上げましたが、今月はアントワネット亡きあと、フランスのファッション・リーダーに躍り出たナポレオンの妻ジョゼフィーヌのファッションにまつわる図録をご紹介します。
 革命後のフランスでは、それまでのバロック、ロココの華美な装飾様式に対する反動とギリシア・ローマ時代への憧れが重なり、美術や工芸、そしてファッションの分野でも、古典的な趣味が流行しつつありました。女性たちは身体を締め付けるコルセットやドレスを脹らませるパニエを脱ぎ棄て、ハイ・ウエストで全体的に細いシルエットをもつ古代風のドレス、いわゆるシュミーズ・ドレスを好むようになります。こうした衣装は「エンパイア・スタイル」と呼ばれ、皇后ジョゼフィーヌの代名詞ともなりました。 
 本書は、マルメゾン城美術館のテキスタイル部門主席学芸員による、ジョゼフィーヌが身に着けたドレスや宝飾品を集めた一冊です。総裁政府時代から第一帝政期までのジョゼフィーヌにファッションという側面から光を当て、数々のエピソードを交えながら、豊富な肖像画や服飾資料とともに読み解いていきます。
 
「ファッショナブルな皇妃ジョゼフィーヌ
―第一帝政期のエレガンス―」
Joséphine Impératrice de la Mode,
L'Elégance sous l'Empire 
22×28cm/128ページ
フランス語/刊行2007年
本体記載価格/25ユーロ
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さらに、彼女が身につけた、流れるように優美な線を描くドレスや、そこに施された繊細な刺繍や文様などを、質感までもみごとに写し取った美しい写真で紹介。マルメゾン城での宴の様子を描いた図版なども楽しめます。
 ヴェルサイユ宮殿を舞台に大輪の花を咲かせたマリー=アントワネットと、マルメゾン城で新たなファッション・リーダーとなったジョゼフィーヌ。時代の変遷とともに劇的に移り変わる服飾史には、その時代の顔となる女性の姿が必ず刻まれていることを教えてくれる一冊です。
●MMFのライブラリーから
「マリー=アントワネットの衣装管理人の記録、1782年」(from Ginza MMF Art Books Library)」
●今月の美術館・博物館
「マルメゾン城美術館―ナポレオンとジョゼフィーヌ―今月の美術館・博物館特集から」
 
 
 
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