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ポール・ベルモンド美術館マダムの連載の一部(10館)が本になりました。 バックナンバーを読む
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肖像彫刻はポール・ベルモンドの作品のなかでも特権的な位置を占め、この芸術家がとりわけ得意とした分野でした。大展示室には、著名人や近親者の肖像15点が飾られていますが、ひときわ魅力的なのは息子ジャン=ポールの肖像(1937年)で、カールした髪の処理の仕方がただひとつの近代的な要素となっています。とりわけよくご覧になっていただきたいのは、《マリアンヌ》(1933年)です。モデルはシャトレ劇場のダンサーですが、多くの市役所でフランス共和国を象徴する像として飾られている作品です。大展示室にはまた、シャイヨー劇場ファサードのための《ダンス》の模型のように、建築装飾の一部を成す巨大な像も展示されています。身体は静的で、髪だけが動くこの高浮き彫りは、舞踊の誕生を連想させる作品です。また、ベルモンドがパリ市立近代美術館のために1939年に制作した《運動選手》も展示されています。

続く小さな展示室には、装飾的な小さな彫刻と、蝋燭立てや時計、錠前といった美しいだけでなく実用的な品々が展示されています。非常に繊細に彫刻された錠前は、ここにあるジャン・パスコー(1903-1996)作のクルミ材に金メッキが施された箪笥(1940年)のような家具に付けるためのものです。

階段を上ってみて、わたくしはとても驚きました。ここから、内装がすっかり変わっているのです。柔らかな光と木の色が、この「触れるギャラリー」にくつろいだ印象を与えています。壁には木製のニッチがあり、そこにも肖像彫刻が展示されているのですが、その様子はまるで肖像たちがおしゃべりでもしているかのよう。そして、ここでは作品に触れて、習作から最終的な型取りに至るまで、いくつもの段階を踏む彫刻芸術の複雑さをよりよく理解することができるのです。なんとよくできた展示でしょう。

2階の展示室には戦後の彫刻が展示されており、著名な美術商の妻シルヴィア・ウィルデンスタインをモデルとした作品(1973年)もあります。この彫刻でポール・ベルモンドは、直彫りと型取りという点において伝統と結び付きながらも、形態と量の単純化へと自らの彫刻を発展させています。シルヴィア・ウィルデンスタインは、穏やかで滑らかな顔が当時流行したおかっぱ風のヘアスタイルで取り囲まれています。次の展示室にはたくさんの子どもの顔が展示されています。いたずら好きで茶目っ気たっぷり、天真爛漫……。ベルモンドは子どもの魅力を捉える天才だったのです。

最後の展示室には、画家モーリス・ド・ヴラマンク(1876-1958)をはじめ、ベルモンドの手によって不滅のものとなった同時代人たちの肖像彫刻が展示されています。重々しい顔で表されたヴラマンクは、残念ながら完成した自分の像を見る前にこの世を去りました。船倉を思わせる最後の階は、この芸術家が彫刻以外に情熱を傾けたふたつのもの、デッサンとメダルにあてられています。彼はさまざまな主題で150点以上のメダルをつくりました。そのなかにはシャルル・ド・ゴールのメダル(1976年)もあります。

単純な線と滑らかな形態によって、調和を探し求め続けたポール・ベルモンドは、20世紀の新古典主義彫刻を象徴する存在です。ポール・ベルモンド美術館は、豊かな作品群を素晴らしい方法で見せることで、この偉大な芸術家の穏やかで心静かな世界へとわたくしたちを案内してくれるミュゼです。ポール・ベルモンドの作品は、流行とは無縁に、永遠に変わらぬ魅力を放っているのです。

友情を込めて。

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