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ユゼス城―デュシェ(公爵領)マダムの連載の一部(10館)が本になりました。 バックナンバーを読む
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最初のサロンはいちばん古い部屋で、あまり光が入らず、厳格な印象。ここには家族の肖像が掛けられています。入って左手には、シャルル9世の家庭教師をしていた最初の女公爵ルイーズ・ド・クレルモン(1504-1596)の肖像があります。このサロンには、キャビネット、肘掛け椅子、テーブルなど、ルネサンス時代の家具が飾られており、中央のテーブルには7kgもある中世の兜が置かれています。

次の間では、ピアノの上に家族の写真や、「デュシェ(公爵領)」の名がついた飛行機の模型が置かれています。
続く大サロンでは、まったく雰囲気が変わります。美しい石膏細工の装飾は18世紀の典型的スタイルです。多数の中国磁器やヴェルサイユ宮殿のものを複製した絨毯が置かれ、近年、青と白の色調でなされた修復によってより美しい空間に生まれ変わりました。豪華な家具はルイ15世・ルイ16世スタイルのものです。

図書室には、宮廷のマントの美しいコレクションや、シャルル10世(1757-1836)時代の重臣の衣裳が飾られています。
少し狭い廊下を通って、「大使の部屋」と呼ばれる黄色い寝室へと参りましょう。ここには1904年以来使われている天蓋付きのベビーベッド(ルイ16世スタイル)と、公爵夫人アンヌ・ド・モルトマルト(1847-1933)の肖像画があります。「大公爵夫人」と称された彼女は2代目公爵の妻で、その強い個性によって歴史に名を残しました。なんと彼女は車の運転免許証を取った最初の女性であり、かつ、スピード違反で罰金を科せられた最初の女性にもなったという武勇伝があるのですよ。

簡素ながら優雅な食堂は、城の「ルネサンス様式」部分にあります。食堂の天井は梁で装飾され、壁にはオービュソン工房の当時の色合いがそのまま残った美しいタピスリー(17世紀)や、大きな肖像画、剥製にした動物などが飾られています。直線的なラインの美しい家具はルイ13世(1610-1643)時代のものです。
見学の最後は礼拝堂です。19世紀にステンドグラスを中心にゴシックのフランボワイヤン様式に全面的に改築され、装飾しなおされた空間です。

シャトーを出られたら、足が赴くままに中世の細い路地をたどって、フランス南部の町独特の雰囲気の中でイマジネーションを羽ばたかせてください。そして、オー・ゼルブ広場へ足をお運びください。ここは、いつも多くの人々で賑わう中心広場で、ゆっくりと散策を楽しむのにじつに気持ちのいいところ。そして、1階が丸天井になった家や、庭に囲まれた18世紀の美しい邸宅など、周囲の家々をご覧になってみてください。とりわけ、見事な装飾金具や彫刻が施された門、コーニス(建物上部の装飾的モールディング)などに注目してください。素晴らしい建築のほかにも、ユゼスは、南仏ならではの心地よさや、温かい雰囲気に溢れた場所。皆さまもきっとお気に召すと思います。

友情を込めて。

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Update : 2016.6.1

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