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「大貨幣鋳造所」の中庭をとおって、新しいミュゼへと参りましょうか。この美術館では、フランスにおける貨幣鋳造の1150年にわたる歴史を時系列に沿って展示しています。そして、貨幣とメダルの歴史を、学術面と芸術面の双方において職人の仕事と結びつけているのです。職人の数は150人で、そのうちの3分の1が女性です。彼女らは15ほどの職業(鋳造工、彫版師、彫金師など)の1世紀にわたる伝統を受け継いでいます。
1階では、見学は鋳造所からはじまります。現在では美術品の鋳造にのみ使われており、鋳造工は芸術家たちと密接に協力して型を準備します。

採掘坑を思わせるような暗がりに沈んだ2階の展示室には、世界中から集められた古代から現代までの貨幣の原料が展示されています。展示ケースには、加工されていない金属(金、銀、銅、錫、ニッケル、亜鉛など)と、加工されたものが展示されています。金属の王、金は、貨幣の歴史とは切り離せないものです。例えば、紀元前6世紀のリディア王の顔をあしらったリディア硬貨や、日本の十両の大判(1725-1837年)が展示されています。もっとも貴重な金属であるプラチナ製のメートル原器とキログラム原器もはじめて展示されています。貨幣用金属の需要が高まるにつれ、人間はやがて合金を用いるようになります。中でも銅は、自由に加工ができる上にもっとも他の金属と混ぜやすい金属です。また、亜鉛はメダルに輝きをもたらし、ニッケルは貨幣をつくるのに理想的。ブロンズは、その耐久性と可鍛性のために人間がはじめて合金技術を習得した素材のひとつです。錫を銅と混ぜ合わせてつくるブロンズは、芸術のための合金です。銀は貴重な金属で、もっとも貨幣に用いられてきました。鉄は道具をつくるのに最適な金属です。

隣の展示室はこれまでの展示室とコントラストをなしていて非常に明るいです。インタラクティブなインターフェースが貨幣鋳造において物理と化学が果した決定的な役割を教えてくれます。また、1900年の金属顕微鏡をはじめとして実験室で使われたいくつかの品も展示されています。

金属製の通路をとおってゆくと、金属をより美しく加工するための彫金や古色の作業を解説する場所に出ます。それから、16世紀から20世紀までの製造技術やノウハウの歴史を展示する非常に大きな部屋に参りましょう。部屋の中央の作業机では、職人が目の前で、さまざまな道具(ビュラン、つや出し用の器具)を用いて硬貨またはメダルに直彫りするデモンストレーションをしています(時間については館にお問い合わせください)。

作業机の後ろの展示ケースには、非常に美しい道具類や、アンリ4世やルイ13世の母マリー・ド・メディシスなどフランス国王の肖像を用いた美しいホールマーク(貴金属の品位証明の刻印)が展示されています。正面には、非常に大きな縮小用の旋盤(20世紀前半)があります。もとの像を縮小して彫刻することのできるこの機械は現在でも動かすことができます。インタラクティブなインターフェースで打ち出しのさまざまなテクニックが説明されています。古代からルネサンスまでは、鋳造師に非常に高い技術が要求されるハンマーが用いられていました。その後、16世紀から19世紀までは手動鋳造機を用いて打ち出しており、より確実でより整った像が描けるようになりました。ここにはブレザンの手動鋳造機(1775年)が展示されています。プレス加工機(1845年)は、最初は蒸気で、次いで電気で作動するようになりました。

Update : 2018.4.2

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